昭和35年に青木定雄氏が京都で創業し、2年後に50周年を迎えるMKタクシー。京都、東京、大阪、神戸、名古屋に営業拠点を有し、来春にかけて札幌、横浜、滋賀、広島、福岡でも順次開業。「MKタクシー緊急全国雇用創出計画」で全国1万人の新規雇用を打ち出し、世間を驚かせた。この度、福岡の代表をつとめることになる、定雄氏の三男で神戸・大阪・名古屋MKタクシー㈱代表取締役社長の青木義明氏に、規制との戦いと今後の展開について話をうかがった。(文・構成:大根田康介)
【京都本社】
所在地:京都市南区西九条東島町63-1
設 立:1960年10月
資本金:9,500万円
売上高:(07年度)約405億円(グループ全体)
■ 再び規制の流れ
―これまで御社はさまざまな規制と戦ってきました。
青木: そもそも規制というものは不合理なのです。社会主義国家ではなく、資本主義国家なのですから。たとえ話になりますが、博多ラーメンの店を持ちたいという人がいたとします。一生懸命修行して、いざ出店しようとしたとき、条例などで「福岡は博多ラーメンの店がたくさんあるからこれ以上出店してはダメ」と規制されたとしましょう。その場合、この人の夢は断たれてしまうわけです。
マスコミさんも勘違いしているようですが、交通というと何か特別な感覚を持っているようです。たしかに、交通の歴史は特別です。規制でがんじがらめですから。タクシーのほか、電車、バス、海運、航空など、すべてが規制業種です。自由に商売させてくれたら良いじゃないですか。
―たしかに、規制そのものが既得権益だったことは間違いないと思います。
青木: マスコミも消費者も規制というものを本当に知っていますか、と問いたいです。規制そのものに明確な理由は無いんですよ。新しい人が新しいことをやろうとすると、いろいろな参入障壁を課すわけです。
弊社にも7月11日に運輸局長通達という、とんでもない通達が来ました。これにより規制が強化され、福岡は特定特別監視地域に指定されました。ほかにも新規参入がまったくできない、緊急調整地域というものがあります。日本では仙台がこれに指定されています。
―それが全国に適用されるのですか。
青木: 現在は京都と名古屋以外の政令都市がすべて特定特別監視地域となります。これまでタクシーの台数を自由に増やせたものが、該当地域では増車届けを出してから2カ月の間に監査し、それで大丈夫なら増車しても良いということになります。新規出店も、これまでは5台、10台でも良かったのが、これからは40台以上でないと出店できません。40台以上と言いますと、1台200万円だとしても8,000万円は必要なわけです。ほかにも土地の仕入れや店舗の建設費なども入れると、40台~50台規模で少なくとも2億円以上の資金を用意しないといけません。
それも、銀行口座に2億円入れたら開業するまで申請書に記載したものの購入にしか使えません。たとえば会社を設立するとき、1円でも株式会社ができるなど起業しやすくなっていますが、そうした流れに逆行してるわけです。
―銀行に入れた資金は使えないのですか。
青木: 開店するまで他の用途には一切使ってはいけません。現業の他の事業に使用したり、たとえば資金繰りに使ったりもできないのです。こんなバカなことがあって良いんでしょうか。
(つづく)
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