上野公成元官房副長官の関連政治団体による政治資金収支報告を、別の角度から検証してみる。上野氏の関連政治団体は自民党の支部を除き6団体。収支報告書記載の住所は全て同一。東京都港区のビルの4階にある一室である。
06年の収支報告書から、これらの政治団体の経常経費のうち事務所費だけを合計すると1,801万7,450円となる。事務所費は事務所の賃料、公租公課や電話使用料、切手購入費、修繕費など事務所維持のための経費が含まれるが、この費目をめぐって様々な疑惑が取りざたされてきたことは周知のとおりだ。1,800万円といえば月150万円の計算になる。これだけでもバカにならない費用である。
07年、同様に6団体の事務所費を合計すると、4,339万7,730円と前年の2.5倍近くに跳ね上がっている。月平均360万円前後の費用となる。事務所の住所は変っていない。事務所が同一の部屋である以上、どれかひとつの団体が契約、賃料の支払いを行っていると考えるべきだろうが、経常経費がこれほど変動するのは極めて稀である。
本来、政治活動費としての通信費等は、別の項目で計上すべきであり、経常経費とは区別されるべきものだからだ。
さらに、経常経費の備品・消耗品費(机、椅子、ロッカー、事務所用自動車、事務用品、ガソリンなどの消耗品)についても、06年の1,726万4,180円から07年の8,605万3,429円と大幅に増えている。経常経費については領収書写しの添付が義務付けられておらず、内容についての確認を取ることができない。選挙の年であることを考えれば、活動費用が跳ね上がることは当然なのだろうが、領収書を必要としない「経常経費」に何もかもぶち込むやり方は感心しない。
収支報告の基になった会計帳簿も、報じてきたような「不記載」がある以上、信頼性に疑問符がつく。会計帳簿がしっかりしていれば、領収書を発行しておきながら収支報告書に金をもらった記載がなかったり、他団体のパーティと混同するという可能性が少ないからだ。
ここで、6団体の収支報告書を簡単にまとめた表を掲載しておきたい(団体別一覧表参照)。不自然なものであることがお分かりいただけるだろうか。
つづく
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