仕事始めで活気づく1月5日、多くのゼネコンで仕事始めが行われた。宮参りで安全を祈願し、少しばかりの酒をあおるのが一般的な光景だ。
そんな中、酒の勢いに任せてか「市場を荒らしまわる安値受注のゼネコンは、この機会に法的手続き(民事再生法や会社更生法)を申請して、潰れて欲しい」という言葉が聞こえてきた。
確かに、全国をまたにかけて価格競争力を存分に発揮するゼネコンには、かつて法的手続きの適用を受けた会社が少なくない。背景には、借金の棒引きをうけて財務体質を改善したからこそ安値受注でもやっていけるとの事情がある。「民事再生法や会社更生法の申請時に周囲を泣かせ、戻ってきたら市場荒らしで同業者と下請けを泣かせている」。そうした思いが、民生法・更生法悪法論に繋がったりもする。民生法適用の煽りで下請けがバタバタ潰れても、当のゼネコンはスポンサーを見つけ、身奇麗になって舞い戻って来るというのがこれまでのパターン。
しかし、世は100年に1度の大恐慌とも評される大荒れの様相である。スポンサーなど容易には見つからない。昨年後半あたりから、スポンサーが付かずに民生法・更生法から破産に転換した事例も散見される。アーバンコーポレイションなどはその最たる例として挙げられよう。つまり、この時期に民生法や更生法を出してもカムバック出来ない可能性が高いのである。
これまで真っ当にやってきたゼネコンから見れば、前述のように「潰れて欲しい」との思いは当然だ。逆に、復活組にしてみれば、「この時期だけは絶対に耐え忍ばなければならない」との思いで、歯を食いしばって年を越したであろうことも想像に難くない。
細りゆく建設需要のパイを前にして、建設業者の淘汰は建設行政の規定路線のひとつにも掲げられている。そんな中、兎にも角にも平成20年を乗り切った各業者は、平穏に新年を迎えられたことを喜びをもって噛み締め、気持ちも新たに平成21年の荒波に船を漕ぎ出している。
【 五島 良男 】
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