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<書評>三浦展著「下流大学が日本を滅ぼす!」
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2009年1月 8日 09:37

【気になる本、ナナメ読み】 vol.2

<幼児化する大学生の実態をユーモアたっぷりに“暴いた”一冊>
 少子化による18歳人口の減少という“市場縮小”に直面している大学では、今、いかに受験生を増やし、学生を確保するかが経営上の重要な課題となっている。その一方、今の学生は豊かな時代に生まれ育ち、大学進学を目指す受験生にとって乗り越えるべき入試という関門のハードルが低くなったこともあり、目的意識や問題意識が希薄で学力にも問題があるなど“質”の低下も指摘されている。  
現在、120万人といわれる18歳人口は今後も減り続け、2050年には60万人台にまで減少すると予測される。これまで受験者数の減少をカバーしてきた大学進学率は、今年50%を超えた。しかし、来年1月17日、18日に実施されるセンター試験の志願者数は約54万4,000人で、前年より約600人増えただけの“微増”に転じるなど、「大学全入」時代に突入した国内の大学の見通しは決して明るくない。

本書は、ベストセラーとなった『下流社会』の著者が、日ごろ大学や教育について考えていることを“語りおろした”新書である。タイトルにある「下流大学」とは、学ぶ意欲や向上心の低い大学生を生む大学のことだと定義している。

内容は、第1章「大学がバカ学生を大量生産する」、第2章「お客様化する学生とモンスター・ペアレンツ」、第3章「バカ学生は社会では通用しない」、第4章「『大学貧乏』の登場」、提言「オンライン大学で下流脱出を」の5部構成。ひ弱で、甘えん坊で、自己愛の強い学生・新入社員の実態を紹介するとともに、そうした若者を生み出す入試制度、教育制度に疑問を投げかけ、具体的な提案を行なっている。

著者もあとがきで述べている通り、実証研究や学問的論文ではないので、裏づけが不足していたり、推測や伝聞の類が多く含まれるのが難点だが、幼児化する大学生の実態をユーモアたっぷりに“暴いた”一冊といえる。

【 斉藤 博文 】

▼下流大学が日本を滅ぼす
▼下流社会


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