事業主集団の経営の旗を立てて!!
筆者は会社設立以来、経営理念の柱の一つに「70歳まで現役で活躍できる場を提供する。そのためには70歳まで耐えられる専門スキルを習得していただきたい。願わくば専門スキル習得の延長線上に、事業主意欲を涵養して事業主連合として、共に会社経営をしていこう」という方向性を明確化している。Aもかつては自営業の経験者だ。「いまさら労働者扱いということではプライドが許すまい」との慮りから、業務委託契約を勧めたのである。
この配慮を、世間によくある卑しい下心にもとづく労働偽装だと断定されるのであれば、心外だ。徹底抗戦しなければなるまい。また筆者の経営理念を法廷で論じる必要があることを痛感した。ただ、法廷で論陣を張ることで、自己満足してはいけない。勝たねばならない。弁護団も強力な専門家集団を活用することにした。もし中小企業の経営者の方々が裁判闘争の事態に迫られるようになった場合には、単に「顧問弁護士だから頼む」ということでは、弁護士選定において失敗を犯す。勝つための弁護団を選択すべきだ。あとで後悔の念を抱かないためにも。
労働問題のリスクを背負った企業は沢山ある
労働審判で貴重な体験をすると、世間に対する視野が広がる。車を運転していると、B社の配達用ライトバンが横を走っているのが目に入った。「あー、B社も労働問題のリスクを背負った危ない会社だな。誰かが従業員に知恵をつけて残業代請求を行なえば、この会社は一発で終わるな」と直感した。B社の社長を中洲でよく見かける。のどかなものだ。よく中洲のホステスを追っかけるので有名でもある。
B社には200人からの営業マンがいる。連日、夜の11時、12時まで働いている。年収は400万円止まりで、40歳を過ぎると「生活できない」との理由による退社が相次ぐ、特性のある会社だ。法人利益は毎期、しこたま計上している。組合オルグがマッチ1本、火をつければ、それこそ2チャンネルではないが、枯草が一挙に炎上する。過去にさかのぼれば膨大な残業代を請求されることになるリスクが潜在している。苦い経験をしたからこそ危険信号の本質を掴めるのである。「B社さん!! 対策を怠らないように」とお祈りしたい。
2009年、激変の時代が始まった。中小企業も大変革を遂げなければ淘汰される。労働環境も激変する。社員・従業員の意識も激変していることを察知しなければなるまい。腹いせに、ないことまでもでっちあげられる行為を平然とされる危険性も濃厚だ。会社が脱法行為していれば社員から告発されるのが社会常識という時代になってきた。まさしく労働問題による倒産の本格化が、現実味を増す時代を迎えたのである。
弊社も、お客様との向き合い方に関する手法を大きく変えなければならない、という認識に至った。そこで『I・Bクラブ』を発足させた次第である。「この『I・Bクラブ』を通じて、会員企業の皆様に労働問題トラブルを解決するための方策を提供することに注力したい」と使命感に燃えている。新年から労働問題に関する裁判闘争という有難い仕事をさせていただき、感謝しているところである。この件で蓄積したことを、必ず『I・Bクラブ』を通じて還元いたします。
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