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<書評>上杉隆著「ジャーナリズム崩壊」
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2009年1月13日 11:19

【気になる本、ナナメ読み】 vol.3

 先日、テレビ朝日が情報バラエティー番組で、スタッフが自作したブログを第三者のもののように紹介していたことが発覚した。「ねつ造ではないが、誤解を与えかねない表現」と釈明はしているが、立派な情報操作ではないか。
 
 この報道を見たとき、上杉隆著「ジャーナリズム崩壊」を思い出した。著者は、ブログなどのインターネットの発達により既存メディアが変化を余儀なくされ、またこれまで常態化していた盗用やねつ造などのインチキがネットや一般の人々に暴かれだした、と指摘している。今回のケースはまさにこれだ。

 ここまで新聞やテレビなどのジャーナリズムが崩壊したのは、日本にしかない「記者クラブ」制度が根源だとする。これにより取材対象との緊張関係がなくなり、取材対象への健全な懐疑主義が失われる。この著書は主に取材対象を政治家などの公権力を念頭に置いているが、「取材・報道」という行為全般に当てはまると感じた。

 もとよりテレビ番組を作っているのは記者ではなく、情報の扱いがおろそかになるのもある意味当然だが、それでも報道という行為に変わりはない。著者が「もはや客観報道は空想だ」と指摘するように、ブログをねつ造してまで客観性、再現性を求める必要があるのだろうか。むしろ、そうしたネット上の情報を集約し、独自の観点を取り入れてこそ番組のおもしろさが増すのではないだろうか。

 一記者として、いろいろと考えさせられる一件であった。

【 大根田康介 】

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