【気になる本、ナナメ読み】 vol.4
同書はマーシー・シャイモフが著し、日本の脳科学者である茂木健一郎氏が翻訳したもの。茂木氏はこの本を「『コペルニクス的転回』をもたらすもの」と評している。
内容に関しては、いわゆる小難しい脳科学ではなく、楽観的でいれば脳はよく働き、脳に喜びを与えればエネルギーが拡大して幸福感が増し、そうすれば自ずと幸運が舞い込んでくる、というもの。端々に脳科学の成果が盛り込まれ、主張の裏付けをしている。
個人的には、目新しいことが書かれているというよりは、日々実践しようと思ってもなかなかできないこと、そもそもそうしなければならないと気づかないこと、そうしたことに気づき実践するために具体的に何をどうすれば良いのか、といったことが脳の働きと関連付けて記されていると感じた。
同書の評価は分かれるようだが、全体的に読みやすく、「幸運を呼ぶための脳科学入門」といったところだろうか。この本を読み、意識的に脳を幸福を得るために働かせようと感じ、行動や考え方を変えて幸運を呼び込もうと実践し達成したその瞬間こそが、「コペルニクス的転回」だろう。
100年に一度とも言われる不況下、どうしてもネガティブな気持ちになってしまう人もいると思う。しかし苦しいことを、人のせい、環境のせいにするのではなく、「辛い」ことは「幸せ」のための試練だと思い克服していく必要性を、同書は説いている。
【大根田康介】
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