大手住宅メーカー等の受注状況も厳しい
本来ならば不況に陥ると最も逆風を受けるのが低所得者層等の弱者である。
しかし、今回の不況では大型車や、高級車等高額取得者が購入する車種が最も落込みが激しい。
住宅でも中低所得層(第一次取得者層)が購入対象となる、2,500万円~3,500万円の価格帯の住宅を供給している住宅メーカーが最も打撃を受けるかと思いきや積水ハウスや大和ハウス工業等が提供している中高価格帯の物件も苦戦している。
受注速報(対前年同月比) | |||||||||||||||
積水ハウス(株) | |||||||||||||||
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大和ハウス工業(株) | |||||||||||||||
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このように、全体として月次ベースでの受注トレンドは月を追うごとに右肩下がりで下降しているが、特に11月に入ると急激な受注減少に陥っている。
積水ハウス(株)の受注速報では、戸建住宅は対前年比でマイナスであるが低層集合住宅はプラスと発表している。しかし九州綜建支店の受注状況を見ていくと、とてもIRで公表している数字とは乖離し過ぎている。
金融機関の融資条件が厳格になり、集合住宅の入居率を厳しく査定して融資を降ろさないのだ。
アパートは持家と異なり、投資対象となるから中々融資が降りずに契約が伸びたり、着工を諦めたりしている。
積水ハウスOBに聞くと、営業が契約で報告する際、持家の場合は最初に契約金として最低100万円を入金して貰わなければならないが、アパートの場合は契約金が要らないので未契約物件を契約したとして売上げに上げてもチェックができない。
その後、工場出荷段階で赤伝(受注取り消し伝票)を上げているのではないか? との憶測も聞かれる。
経済先行指標は全て悪化へ
1月5日に日銀が発表した09年度の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを従来のプラス0.6%から下方修正し、マイナス成長とする方向で検討に入った。
米国発の金融危機の影響を受け「国内の景気後退も長期化が避けられない」との判断に基づいており、マイナス幅は0~1%程度になると見られるが、既に民間シンクタンクの見通しはマイナス1%と厳しい判断を示しており、1975年の第一次オイルショック以来の厳しさになる模様だ。
同じく1月9日に内閣府が発表した昨年11月の景気動向指数(速報値)によると、景気の現状を示す「GI」(合成指数、05年=100)の一致指数は前月比2.8ポイント下落し、94.9となった。下落幅は80年1月の調査開始以来、過去2番目の大きさである。
GIを構成する11指標のうち、速報段階で判明した9指標全てが10月から悪化しており、生産と雇用関連の指標が全て大きく落込んでおり、海外需要の急減を背景に、企業が急速な生産・雇用調整を進めている姿が裏付けられた。(つづく)
【 徳島 盛 】
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