【気になる本、ナナメ読み】 vol.6
同書は福岡県出身、九州大学卒の著者が、現在の不動産市況を踏まえて著したもの。きっかけには、今回のバブル崩壊で身近な人々が不動産で失敗したことがあるようだ。失敗にはさまざまな要因があるが、その要因を事前に知っておくことで不動産取引での失敗を未然に防ぐことを伝えたいのだろう。
内容は語り口調で読みやすい。複雑なデータを個別具体的に検証するというよりは、大局的に現在の不動産市況を語ろうとしている。とくに不動産価格の見極め方、投資家心理、金融機関の動向などを分かりやすく解説する。
現在、不動産市況が低迷を極めているのは周知の通り。今回は国内だけの問題ではなく、サブプライムやリーマンショックなどアメリカ経済が与えた影響も大きいと思うが、そのあたりについては積極的には触れていない。世界経済のなかにおける、日本の不動産市場の将来像についてはもう少し知りたかった。
これからマイホームを買おうと考えている人、不動産市場のことを勉強したい人は一度目を通してみると良いだろう。前者にとっては分譲住宅の購入リスク、後者にとっては1990年のバブル崩壊以降、今回の2度目のバブル崩壊までの流れがつかめる。一個人が不動産と向き合うための姿勢を記している、と言い換えても良い一冊だろう。
【大根田康介】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら