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特別取材

新たな価値を生む博多港(上) | 新春トップインタビュー
特別取材
2009年1月19日 10:46

発展のために長期的視野と夢を
博多港ふ頭(株) 代表取締役社長 江頭 和彦 氏

 博多港は、古来から中国大陸や朝鮮半島との交易拠点として栄え、近年はその地理的特性を活かし、国際物流の拠点として発展してきた。その中核をなす港湾運営会社の博多港ふ頭(株)代表取締役社長・江頭和彦氏に話を伺った。 (聞き手:弊社代表 児玉 直)

所在地:福岡市東区香椎浜3-13
設 立:1993年4月
資本金:7億円
授権資本金:9億6,000万円

博多港の機能と地域への経済波及

 ―昨年は創立15周年を迎えられましたが、会社の歩みと現況をお聞かせください。
 江頭 当社は1993年に現在の香椎パークポートにコンテナターミナルができたのを機に、民間企業で構成する団体に新たに福岡市が出資するかたちで発足しました。福岡市が51%出資の第3セクターで、41%は港運関係企業、8%は地元の銀行が出資しています。

 業績は順調に推移しています。その理由は、国際コンテナ貨物の伸びが直接当社の経営に好影響をおよぼしているからです。当社は料金の値上げをすることなく黒字経営を堅持しています。幸運といえば幸運ですね。まさに当社は博多港の発展とともにあるということです。

 もう一つは、港湾の労働組合の協力が大きいですね。24時間、364日体制をとっています。正月だけは休みですが、世界が相手ですので、正月に入る船があれば協議して受け入れています。

 博多港のコンテナの歴史は新しいですが、日本のなかでは取扱量は6位になっており、日本を代表する港になりつつあります。

 ―15年間で貨物の変化はどうなっていますか。
 江頭 輸出では、当初はタイヤ・バイク・電気製品がリードしていました。輸入については、博多港はもともと消費地ですので、生活用品を中心とした消費関連物資が入ってきています。現在の輸出入の中心は、タイヤ・ゴムその他、ICや自動車部品になりました。衣類関係もアパレル含め多くなっていますし、中国やベトナムからの家具が多く輸入されています。輸入された家具に付加価値を付けて「大川ブランド」として売り出されてもいます。

 また、新しい傾向として、小麦はもともとバラ積船で運ばれていましたが、昨年来の小麦の高騰などにより、少量の小麦はコンテナで運ばれている例があります。ロサンゼルスでは、産地から港へはコンテナ列車でとうもろこしなどと一緒に小麦も運ばれていますが、それが日本にも反映しつつあると思います。

 もう一つ面白い現象は、現在、トヨタが専用船で新車を中国に向けて輸出していますが、中古車を含めて少量で種類も異なる車についてはコンテナに入れて輸出していることです。ロシアではコンテナの輸入体制が整えられていないのでシェアは1割を切っているようですが、アメリカなどでは7、8割の中古車はコンテナだそうです。専用船より安価ですむため増えているようです。

 全体的に言えるのは、博多港は福岡市および背後の消費経済を支える物流拠点としての重要な役割を担っていることだと思います。

ICターミナルの供用開始で機能を強化

 ―アイランドシティ(IC)ターミナルが供用開始されました。
 江頭 香椎パークポートは2バースで37万個、ICは1バースで30万個を取り扱っており、1バースあたりではICの取り扱いが大きい。これは荷役システムとヤードの大きさが異なることに起因しています。香椎は岸壁から奥行き350メートルで、ICは奥行き500メートルあります。アイランドシティC2バースが昨年10月20日に供用開始になり、さらに機能がアップしました。

 香椎パークは狭いなかでフル稼動していますが、ICは水深が深く広いので、連続バースになると入船も自由にできるようになります。今後はICが主力になっていくでしょう。博多港と上海を結ぶ上海スーパーエクスプレス(株)(SSE)と、釜山を結ぶカメリアライン(株)がRORO船(自走で搭載・揚陸できる荷物船)を走らせていますが、年間9万個入ってきており徐々に増加しています。日本の国際RORO船は、博多港と下関港が中心になっています。

 ―2008年、御社にとっての重大ニュースは何でしょうか。
 江頭 何と言ってもアイランドシティのC2バースが供用開始したことでしょう。念願の水深15メートル岸壁ができました。これにより、今まで大きい船は入港できなかったのが、世界トップクラスのコンテナ6,000~8,000個積みの船が入港できるようになりました。岸壁の長さと水深の自由度が増してきましたので、港の能力が画期的にアップしました。今、世界のコンテナ船はすごい競争をしていますから、船の誘致には有利になっていくと思います。

 次に経営ですが、昨年の原油高騰で関係業者は大変でしたが、当社のターミナル内での消費軽油はデリバティブで契約をしていますので、料金を抑えた価格でユーザーに提供できました。世の中が値上げしているなかでも値上げをしなかったことが、経営に大きな貢献をしています。我々の経営というよりも、ターミナル利用者である港運の経営に貢献していると思います。

 さらに、CO2排出量削減を含めたエネルギー効率を高めるために、ヤード中の荷役機器トランステーナという大型クレーンにハイブリッドを導入しました。これは東京、名古屋に次いで3番目です。当社がバースの全部の荷役機械を購入しているため、当社の意向が荷役のシステムの選択に反映できます。当社の場合は、「特定埠頭運営効率化推進事業」ということで、市からコンテナターミナルを一括して借り受けて運営していますから、ユーザーと切り離して自由度が高いシステムに移行することができます。荷役システムを当社が一括して提供するというのは他港にはないシステムです。他港はバースごとに港運会社がそれぞれ判断してやっていくということになっていますから。(つづく)


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