昨年8月5日、約220億円の負債で民事再生法を申請した丸美。民事再生終結に向け、個人債権者の願いもかなわぬまま事が進んでいる。同社は、(1)分譲マンション管理営業権(2)賃貸マンション管理営業権(3)リゾートの施設及び不動産+(残りの会社資産+負債)、各営業権+施設などを販売後、解体される。その説明会は1月22日。その後丸美自体が100%減資され、新たな株主として韓国の旅行会社イアンが登場、「金丸代表の丸美」は事実上消滅する。
(1)マンション管理営業権
購入会社:長谷工 5億8,000万円
(2)賃貸マンション管理営業権
購入会社:オーロラ 2,000万円
※3年後預り敷金の60%保証
(3)リゾート施設+営業権
購入会社:イアン 施設不動産6億円+営業権7億5,000万円
一般債権者への配当は、ほとんど見込まれない。
但し、リゾート会員権の債権者(3,000名)には、リゾート施設の営業権7億5,000万円が配当に充当される予定である。問題は3施設の担保権者である金融機関が6億円で担保を抹消してくれるかである。いまのところ金融機関の見解が確認できず不明な部分が多い。
銀行など担保設定している金融機関が、6億円での抹消に難色を示せば、7億5,000万円を金融機関への返済財源に充当するということになる。
また、当該の7億5,000万円については、向こう5年間での支払とされているが、イアンという会社自体の実態が分からず、先行きの不透明感は払拭できない。
つまり、リゾート債権者に対する7億5,000万円は、決して保証されたものではないのである。
7億5,000万円の配当が実現すれば、90億円も集めたリゾート会員権の債権に対する配当は5%以上となる。
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※7億5000万円が配当されたとしても、リゾート会員だけにその財源を配当できるかも不明な点が残る。
一方、社債の方はさらに問題である。
42億円の社債の債権者(1000名)に対する配当はほとんど皆無となろう。
42億円のうち、20億円あまり集めたとされる「合同会社丸美堺筋本町ビル」。実は「合同会社丸美堺筋本町ビル」という会社自体が登記されていない架空会社だったことが判明している。丸美は、前代未聞の資金集めをしていたことになる。購入者の一部には、その社債代金を丸美の口座に振り込み、社債券面を請求したにもかかわらず、受け取っていないという人が何人も存在する。
そうしたなか、その社債の債権について保証している丸美そのものが破綻。丸美は資産無しの状態であり、回収不能に近い。
裁判所は、1月9日付で意見聴取書を債権者に求めているが、一方でリゾート会員権の債権者が、警察に告訴している。マンション管理の営業権の売却はともかく、100%減資して会社売却することを認めれば、代表交代も必然であり、告訴状を受理した警察が捜査に支障をきたす可能性もある。
なお、丸美については、グリーンシート市場に上場していたことから金融庁の証券取引等監視委員会も注目しているという。
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