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特別取材

新たな価値を生む博多港(下) | 新春トップインタビュー
特別取材
2009年1月20日 09:32

ハイブリッド化と電化による効率化とCO2対策

 ―ハイブリッド化の具体的な効果はいかがですか。
 江頭 エネルギー消費が40%以上削減されました。燃料の市況が2~3倍になるなど高騰するなかで相当貢献していると思います。デリバティブとハイブリッド化によってエネルギー効率を高め、燃料費を抑えることはCO2削減対策にもなります。現在考えているのはさらなるCO2対策で、荷役システムを一斉に変えることができないかということを検討しています。C2の2バースをハイブリッドにするか電化にするか、ということです。電化にすると電気代は掛かるにしてもCO2対策になります。ハイブリッドでも安くなるし、電化方式は日本のどこにもありません。当社が先頭を切って検討を始めました。

 課題は設備投資をどうするのかということです。
 CO2を排出して国際物流を行なうシステムでは企業イメージが悪くなりますから、こうしたことが実現すれば、企業にとってもプラスです。その意味ではポートセール上も有効な武器になるであろうと考えられます。トップクラスの企業は環境対策をどうしていくのかが重要な課題になっており、企業内だけではなく、輸出入の物流にどう配慮するのかも問われています。それに応えることができれば、博多港に行けばクリーンだということになります。

 今、世界のトップで動いているのはロサンゼルスとロングビーチです。CO2対策ということでこの2港で電化も含めて港湾に積極的に導入しようという動きが始まっています。これからの世界の流れは環境になっていく。中国はエネルギー事情が厳しく燃料が不足しているので、燃料を使わずに電化にすることで効率をあげるということですね。韓国も電化に動いています。日本だけが動いていないという感じです。

 ―ところで、夏以降の金融危機の影響は具体的に出始めているのでしょうか。
 江頭 サブプライムローン問題で少し陰りは見えましたが、そんなに大きな影響はありませんでした。しかし、餃子問題に端を発した食料の風評被害がありました。その次はリーマンショックです。これで各企業の生産体制が大きく変化し、11月は対前年比で7%の落ち込みとなりました。今後もマイナスは長引くということを視野に入れておかねばなりません。

 ―09年は見極めをして将来に備える年になるということですね。
 江頭 当社は、不況を迎えても無駄を省き、生き抜くことを考えていきます。また、荷物が増えてから投資をするのでは遅くなります。将来を展望したシステム構築、電化方式もありうるということで投資を考えていきたいと思います。投資をしないと会社はつぶれてしまいます。設備が陳腐になったら港間競争に負けてしまいます。「博多港は混雑してサービスが悪い」となれば終わりですから。厳しいですが、設備投資を適切にやらないと港は止まります。そこが難しいこところですね。

博多港と地域振興・都市戦略は

 ―ところで、博多は港湾都市ですが、御社の果たす役割はとても重要な位置を占めると考えています。まちづくりについてのお考えは。
 江頭 福岡市の産業構造を見ると、生産基地ではありません。今後も生産基地になることはほとんどないと思います。しかし、周辺の市町村は生産の基盤を持っているし、そこが発展するためには、福岡市の空港、港湾、鉄道といった物流の施設が万全なサービスを提供できなければ生産基地として成り立ちません。したがって、空港、港湾、鉄道はサービスができるように投資をしていかねばならない。そうすることで、福岡都市圏250万人、北部九州の自動車・IC産業、場合によっては中九州から南九州まで、酪農をはじめとした地場産業へのサービスも念頭においてやらねばならない。

 そうしたサービス事業は福岡市にしかできません。博多港はその重要な役割を持っています。福岡市に人・物が集まっているから福岡市の経済が成り立っている。一方、周辺地域・背後は福岡市の都市機能、流通・物流機能があることで成り立っているのです。ダイレクトにいける物流施設があるからこそ価格が安くなるわけです。輸入にしてもそうです。神戸経由だったりしたら困るわけです。消費者も困るし、企業も困ります。企業立地もできなくなります。

 空港を例にとると、東京の人であれば上海、北京などへは成田経由で1泊2日で行くことができますが、羽田が拡張してさらに便利になります。成田からだと時間がかかると焦っているわけです。福岡は空港があって日帰りできます。企業の競争力として福岡は中国向けの活動が有利になっていきます。そうした時間の視点をもって空港問題は考えないといけません。

 ―港湾都市福岡の発展にとって何が必要なのでしょう。
 江頭 福岡市の大きさ、都市圏の大きさ、北部九州の経済力を考えると、施設の分散化は避けたほうが良いと思います。コンテナなどは分散せずにやっていますが、いま議論されているコンベンションセンターなどの都市機能は、経済の施設ですから競争力がないと何の意味もない。福岡の大きさから考えると、コンパクトに集中してやったほうが良いと思いますね。今ある施設を利活用することが一つと、その周辺で対応するというのが増強の大方針だと思います。したがって、場所がなければ再開発して創り出すということを考えねばなりません。都市機能、経済交流機能を分散させないほうが良いと思いますね。

 須崎、博多、中央という3つのふ頭地域とその背後は一体で考えていく必要があります。ベイサイドプレイスの集客施設を含めてもっと集中させ、あの地域を有機的に結ばないといけませんね。

 福岡市の場合は海に向かっていた動線が天神で切れましたが、地下鉄3号線はどうあるべきか、という議論をもう一度しなければならない時期がきていますね。また、新幹線が全通したときのまちの体系をどうするのか、という問題もあります。これは博多駅前だけの問題ではなく、福岡市全体の問題です。

 いずれにしても、港と空港と鉄道で福岡のまちの基盤フレームが造られます。そのフレームを造るという前提で福岡のまちのあり方がどう変わるのか、どう変えようとするのかを議論していかねばならないと思っています。


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