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売上の落ち込みに歯止めかからず 松屋産業(株)―上 | 倒産を追う
特別取材
2009年1月20日 14:00

ついに破産手続申請に着手

松屋産業(株)
代  表:世取 秀文
所在地:北九州市八幡西区大字野面281-1
設  立:1965年4月
資本金:9,600万円
業  種:木材、建材、住設機器販売
年  商:(08/3)32億2,162万円

松屋産業(株) 北九州地区を代表する建材販売業者の松屋産業(株)が破産手続きの申請準備に着手したことが判明した。関係者の間では、ここ数年、非常に経営が厳しいと目されていたが、2009年の新年早々に「法的手続きによって、市場運営継続をはかるべく、法律事務所にその手続きを依頼中です。おって、法律事務所を通して、後日連絡致します」という内容の張り紙を本社の門に張り出した。同社は、1922年に創業したのが始まりで、業歴は85年を超える老舗企業であった。その同社がなぜ破綻に至ったのか、検証する。

直近の8年間で増収となったのは1度きり

 同社は1922年に個人創業されたのが始まり。その後、65年4月に松屋木材(株)と合併するかたちで、松屋産業(株)として設立されている。現代表は、92年に代表取締役社長に就任した。名門企業らしく業歴に見合うだけの豊富な資産を形成してきており、一族を中心として安定した事業展開を行なってきた。

 とくに地場中小工務店を得意先として、本社のある八幡のほか、宗像市、行橋市、鳥栖市、大分市に木材市場を設置。それぞれに月三回の定例の市日を設け、木材や建材をはじめ、住設機器などの販売を行なってきた。そして、94年3月期には約93億円の売上高を計上し、地場トップクラスの建材販売業者へと成長していったのである。

 しかし、その後は低価格な輸入材や木材自体の取り扱い単価安の影響から業績は低迷。右記の業績推移を見ていただくと分かるが、94年期には93億円あった売上高も08年期では32億円と3分の1ほどにまで落ち込んでいる。さらに、この8年間で売上高の減少に歯止めがかかったのは05年期のみであるが、それもほぼ前期並みの水準をなんとか確保したといったレベルである。建設業界の落ち込みに比例して、同社の業績も坂道を転がり落ちるかのように急降下していった。

 それでも、売上が減少していくなかで、収益面はなんとか黒字を確保してきた同社。しかし、08年期では在庫圧縮のために低価格での販売を進めたことから、売上総利益率が対前期比より約4%低下。これにより、販売管理費を吸収できず、営業損益段階で1億円を超える赤字を計上した。結果的に役員からの債務免除益として4,680万円を特別利益に計上するも、当期純利益は1億4,789万円の大幅な赤字となってしまった。

 さらにもう一つの大きな経営上の問題が過大な有利子負債の存在であった。年々減少傾向にあったとはいえ、08年期では19億5,871万円と、月商の7カ月分にもおよぶ有利子負債を抱え、この存在が最後まで重荷となり同社の経営を苦しめることとなった。

松屋産業 業績推移
  2001年3月 2002年3月 2003年3月 2004年3月 2005年3月 2006年3月 2007年3月 2008年3月
売上高
5,811,054
5,322,493
5,090,600
4,882,115
4,887,470
4,596,299
4,132,897
3,221,622
当期利益
17,123
▲13,674
21,147
21,235
10,745
12,636
12,391
▲147,895

 このように非常に厳しい経営を余儀なくされ、業績は年々落ち込んでいくばかりの同社であるが、まったく手を打たなかったわけではない。(つづく)

【宮野 秀夫】

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