上野公成元官房副長官の関連政治団体に対する、積水ハウス・大和ハウス工業による政治資金提供は、住宅建設関連業界の全面的支援の一環だった。
大和ハウスの樋口会長は上野元副長官を推薦した「住宅産業振興連盟」のトップとして、積水ハウスの和田会長は「上野公成後援会」の会長として、選挙の勝利に向けて最大限の援助をしなければならない立場だったと思われる。しかし、2社で1億5,000万円を超える政治資金提供は、あまりに非常識である。当選していれば、の話ではあるが「積水・大和」2社のお抱え議員と言っても過言ではない。これほど特定企業からの資金提供に頼るケースは珍しい。
2000年から、資金管理団体を含む政治団体は、政党及び政党支部や政党の政治資金団体(自民党の場合は『国民政治協会』)を除き、企業献金を受け取ることができなくなった。結果、企業献金が政党支部に集中し、その後、後援会などの政治団体に寄附の形で資金が移動するという、いわゆる「迂回献金」が問題になる。同時に増え続けたのが「政治資金パーティ」による政治資金集めである。
政治資金パーティであれば、1企業が1パーティに対し150万円を限度に、堂々と支出することができる。100回のパーティがあれば150万円×100回の資金提供が可能なのだ。政治資金パーティへの支出は「催物」に対する対価の支払いであり、一方的な「寄附」ではないとの解釈である。企業献金を禁止しながら、一方でパーティならOKという、巧妙な「抜け道」を残したのである。
上野元官房副長官の関連政治団体が、この「抜け道」を使ったことは、これまで報じてきたとおりだ。1年3ヶ月の間に55回の政治資金パーティ。さらには、同一のホテルで1日2回、しかも2回目は1回目のパーティの「控え室」でやったという。抜け道利用といえばそれまでだが、本当に「控え室」での集まりが政治資金パーティとして認められるのか疑問である。また、上野元副長官側の政治資金収支報告書の杜撰な実態からは、政治資金パーティそのものの存在さえ怪しくなっている。
わざわざ六つもの政治団体を使ったことは、「見つけにくく」するためのものだったのではないかとの疑念も生じる。代表者となった上野氏の秘書の名前でも覚えていない限り「環境問題研究会」「住宅政策研究会」「高齢社会研究会」などの収支報告書と、上野氏とを結びつけることは難しいのである。320万円という、収入の大半を積水・大和の金で占めるような集まりが、果たして「政治資金パーティ」といえるのだろうか。
すでに綻びが見える上野氏側と2社の言い分だが、積水・大和は、なぜここまで上野公成という政治家にのめりこむ必要があったのだろう。そこに「役所の指示」は無かったのか?検証は続く。
(シリーズは1月19日再開)