23日、こども病院人工島移転問題で、福岡市が現地建て替え工事費を1.5倍に水増ししていたことを、読売新聞が朝刊で大きく報じた。
よくやったと言いたいところだが、「なにを今頃」というのが正直な感想。ネットI・Bニュースでは昨年7月の段階で、関係文書を入手、「だまされた市民」のタイトルで水増しの全容を報じていた。当時の記事を参照いただきたい(過去記事参照)。問題は、現地建て替え工事費だけでなく、新病院工事費の算出根拠や、人工島の土地代水増しなどが、放置されたままであること。さらに、こども病院移転地について、市民には「まだ決めていない」としながら、総務省との起債協議のために提出した文書に「人工島」として面積まで明記していたことも判明している。
こども病院人工島移転は、すでに福岡市議会で了解されている。読売新聞が今になって後追い記事を書くくらいなら、議会採決前に論陣を張ってほしかったというのが関係者の思いだろう。
こども病院問題の検証を続けながら、「マスコミの不作為」も指摘してきた。市役所の機嫌ばかりうかがい、こども病院人工島移転という暴挙に手を貸したメディアの責任は重い。
遅ればせながらでも市民に真相を伝えた読売は、批判対象ではないのかもしれない。しかし、なぜ水増しの事実について、弊社や地元テレビ局が報じた時に筆を取らなかったのか。残念というほかない。
こども病院人工島移転は、子どもの命を守るという観点から、なんとしても阻止すべき愚策である。吉田宏市長は山崎前市長の路線継承を嫌い、つじつま合わせに「人工島事業検証・検討」を行なった。それがインチキだったこともすでに証明されている。
そうした事実も市民に伝えきれるのなら、読売の記事は無駄にはならないが…。
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