世界的な金融ショックの影響から、不動産関連は全国各地で厳しい営業を強いられている状況にある。福岡でも厳しい状況に変わりはないが、中でも深刻なのが分譲マンションだ。
販売会社は価格の値引きなどで顧客獲得に躍起になっており、チラシに堂々と「○○○万円値引」と打つ広告も出るほどで、路上の案内看板などにも「500万円、価格ダウン!」「モデルルームにつき大幅割引します」といったものが目立ち、今や「家具付」はインパクトすら受けない状況だ。
デベロッパーは「在庫を抱えたままで、建築費の支払期日が迫れば、なりふり構っていられない」と話す。その背景には、マンションの建築工事費の支払いは手形が多く、完成半年後に決済が行なわれることが大半だ。そのため、マンションの部屋が売れ残ると支払いの目途が立たず、ゼネコンに支払いの猶予を頼むなどの事態を招きかねない。また、何とか決済資金を捻出するためと、販売経費を節約するために、半値近くで同業他社などに転売して現金を確保するケースも聞かれる。
こうしたことから、背に腹を変えられず値引きが当たり前のように行なわれる事態となっている。そのため、「分かりましたこの物件で決めます。ところで、いくら引いてくれるんですか」とお客さんが値引きを要求するケースも多く聞かれ、「自分自身でクビを締めている」とある経営者はこうした事態を嘆いている。
【山口 恭介】
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