こども病院人工島移転が、「はじめに人工島ありき」で進められたことは、昨年7月からのデータマックスによる一連の報道がそれを証明している。(過去記事参照)
23日、読売新聞が朝刊で、同病院の現地建て替え工事費水増し問題を報じてから、再びこの問題に火がついた。ゼロからの見直しとしながら、要望の多かった現地建て替えを否定することから始まった「検証・検討」。起債協議のため総務省に提出した文書への「移転場所 アイランドシティ」の明記。どれも吉田市政の欺瞞の証である。
今回の騒動は昨年既報の事実ばかりであるが、実は「はじめに人工島ありき」の証拠はまだある。人工島事業検証・検討にあたり、福岡市が民間に業務委託して作成させたのが「福岡市立病院経営分析報告書」と人工島の土地についての「調査報告書」。今問題になっているのは、前者の病院経営分析の中の「現地建て替えシミュレーション」である。
吉田市長は27日の記者会見で、現地建て替え工事費再見積のためゼネコンに行った市職員を「2人」と明言した。当然「検証・検討」チームの職員ということになるが、果たして本当にそうだろうか。そうでなかった場合、職員の所属課によっては「検証・検討」の信憑性はゼロになる。もちろん、吉田市長の責任が問われることはいうまでもない。
ゼネコンの社名は聞いていないと市長は言うが、水増し報道があった昨年7月の段階で、担当職員に事実関係を聞いていなければならない。本当に知らないとしたら、行政トップの職務を放棄したことになる。無責任極まりない。
選挙公約との整合性をとるため、無理な検証・検討をやらせたのは、ほかならぬ市長。今の状態では、懸命に仕事をした職員はたまったものではない。
市長は逆切れせずにきちんと疑問に答えるべきだ。
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