福岡市の人工島事業検証・検討チームが、こども病院の現地建て替え工事費について大手ゼネコンに再見積を要請、ゼネコン3社からの回答をもとに、市の業務委託を受けた梓設計が見積もった85億5,000万円を、検証・検討報告では128億3,000万円と水増ししていた問題で、新たな事実が判明した。市の検証・検討が見せかけだったことを証明する新事実であり、検証・検討の信頼性が崩れるばかりか、吉田宏福岡市長の責任を問う声が大きくなりそうだ。
27日の定例会見で、吉田福岡市長はゼネコンに行った職員を「2名」と明言していたが、2名のうち1名は、検証される側の保健福祉局「新病院担当」の職員だったことが判明、同職員もこれを認めている。
検証・検討チームには建設工事についての知識が豊富な職員がいなかったため、ゼネコンをよく知る新病院担当の職員が大手ゼネコンなどに現地建て替え工事費の妥当性などを相談、検証・検討チームの課長に紹介した上、同行したこともあるとしている。
検証される側の「新病院担当」は、平成18年、19年、20年と、従来の「市立病院の人工島への統合移転」を進めており、業務委託した東京のコンサル業者「PwCアドバイザリー株式会社」やその下でさらに業務を請負った梓設計などと「人工島」を前提に仕事を進めていた。
平成19年になって検証・検討作業が始まったが、データや知識など、従来の蓄積が豊富で短期間での検証・検討は前出のPwS社しかできないとして、検証・検討チームも同社に業務を委託した。
梓設計は現地建て替え工事の見積をムダな作業として固辞したが、頼み込んでやってもらったという。算出された85億5,000万円は坪単価に面積をかけた大雑把なものであったため、ローリング費用を含めればこの金額では無理との声が上がり、技術力がある大手ゼネコンに金額の妥当性を聞いたという。
担当職員の仕事熱心は分かるにしても、検証される側が検証するチームとともに、現地建て替えを否定する結論を補強したことになり、検証・検討の独立性、信頼性が失われたことは否めない。
吉田宏市長の逆切れでは収まる話ではなくなってきた。
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