いまや「上げ潮」派の頭目として自民党の反主流派のリーダーとなった感のある中川秀直元幹事長は、およそ構造改革派には似つかわしくない顔を持つ。中川氏の政治資金のスポンサーに曲者が多いのだ。多くの国民が記憶している森喜朗政権の官房長官時代の愛人スキャンダルといい、中川氏にはきわどさが付きまとう。
違うカネの性格
自民党が割れるかどうかという路線対立が続いている。大別すると、麻生太郎首相を支える層が公共事業拡大のバラマキによる景気浮揚と、その財源としての消費増税を打ち出す一方、小泉・竹中の構造改革を継承するグループは官のリストラによって小さな政府を希求し、規制緩和による産業振興を目指している。
後者がいわゆる「上げ潮」派と呼ばれる人たちで、主に当選1期の小泉チルドレンが多く、彼ら若手に担ぎ上げられているのが中川氏であることは、周知のとおりだ。
その中川氏に昨年暮れ、思わぬスキャンダルが飛び込んだ。すでに法人税法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されている新興のマンション販売会社「ABCホーム.」元会長の塩田大介容疑者に頼まれて、中川氏の公設第2秘書(当時)が2005年9月に塩田容疑者と一緒に名古屋証券取引所の畔柳昇社長を訪れて、名証の新興市場セントレックスにABC社が早期上場できるよう口利きをした、というのである。
週刊新潮1月15日号によれば、塩田容疑者が名誉相談役を務める日本ダンス議会の名誉会長に中川氏が就いているとされ、同容疑者の結婚披露宴に媒酌人代表として駆けつける親密さだったという。
中川氏が属している自民党清和会のオーナーである森元首相は、かつて派閥担当の政治記者に「町村(信孝元官房長官)と中川はスポンサーがまったく違うんだよ。2人は集めるカネの性格が全然違う」と漏らしたことがある。
父親が北海道知事で、自身も旧通産官僚出身の町村氏は、自民党の伝統的な支持基盤である大企業や有力な業界団体から資金を集めているのに比べて、中川氏は「違う」というのだ。
【 神鳥巽 】
*記事へのご意見はこちら