ゼネコンの裏金疑惑が次々と明らかになっている。元副社長の外為法違反容疑での立件が報じられる中堅ゼネコン「西松建設」、キヤノン関連工事に関し九電工ら下請けを使った手口が詳しく報じられた「鹿島」。いずれも裏金を作ったことまでは報じられているが、違法に捻出した金がどこに流れたのかが焦点となる。
西松建設の場合は、海外・国内それぞれ10億、計20億円以上の裏金を作っていたとされる。同社OBが作ったふたつの政治団体「新政治問題研究会」「未来産業研究会」(いずれも2006年解散)に裏金などを入金、国会議員や地方政治家の政治団体に寄附をしていた。総額約4億5,000万円だという。しかし、政治資金収支報告書で確認できるのはあくまでも表の金である。
同社関連では、水谷建設事件でも名前が取りざたされたフィクサーの関係会社なども捜索を受けており、野党の大物議員が視野に入っているともいわれる。
一方、キヤノンがらみの鹿島については、裏金がキヤノン会長・御手洗冨士夫氏(日本経団連会長)の関係先に流れたとの疑惑が持たれている。裏金捻出には九電工の関与も報じられており、実態解明が進められるなか、思わぬところへ飛び火する可能性もあると囁かれはじめた。
ゼネコンと汚職は切っても切れないといわれる。時に大物議員や首長の逮捕にまで発展し、公共事業のあり方まで問われる事態になる。公共事業は無駄な税金の使い道のトップに上げられがちである。しかし、何でもかんでも公共事業が悪いということはあるまい。裏金や贈収賄が事件化することで建設工事に対する信頼が失われているだけである。建設業にとっては自分の首を絞めるようなものなのだ。
工事が民間企業発注のものであったとしても、裏金が動けば、批判の対象になることは明らかである。もちろん刑事事件になる場合もある。次々と明らかになるゼネコンの裏金が、社会的にどれほどのマイナスになるか、関係者は肝に銘ずべきである。
ゼネコンの裏金捜査がどこまで核心に迫るか―。まずは久々の大型事件とも言われはじめた西松建設裏金疑惑に注目したい。