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特別取材

性悪説に立った淘汰政策か 実無き法制度を糾す(4)
特別取材
2009年1月18日 13:00

コラム「迷走する建築士業界」

■この問題を風化させないために

この問題を風化させてはならない 昨年11月28日、構造設計一級建築士や設備設計一級建築士などの新国家資格の設置を柱とした改正建築士法が施行された。

 (財)建築技術教育普及センターによれば、現在までに資格取得講習修了数は、構造設計が再考査分も含めて6,677人、設備設計が再考査分も含めて2,727人となっている。また福岡では、構造設計が241人、設備設計が73人にとどまっている。東京・大阪・名古屋・福岡以外の地方ではさらに少ない。

 試験のあり方への疑問や人手不足に対する懸念などは、改正法公布時点からすでにあった。実際にさまざまな建築士や設備会社の人に取材して話を聞いたが、「なぜ構造と設備を分ける必要があるのか」「試験はほぼ記述式だが合格基準が分からない」「このままでは人手不足になる」といった声がほとんどだった。

 もちろん、「偽装を防ぐための規制強化や制度変更自体は悪いことではない」とする人もいたが、それでも「試験内容は、たとえるなら内科専門の医者に脳外科の専門問題を解けと言っているようなもの。専門分野がまったく違ううえに、建築士は高齢の人が多い。今さら専門的な試験勉強なんてできない」と不満をもらしていた。

 09年5月27日以降、一定規模(鉄骨造4階建て以上、木造では高さ13m、鉄筋コンクリート造では高さ20mを超える建物)以上の建物に、構造設計一級建築士の関与が義務付けられる。いずれにせよ、この施策が正しかったかどうかは、これから現場で働く人たちの声を拾い上げて判断していく必要がある。

 ただ、今回の問題は、「天下り先の利権」「官製不況」のような卑近な言葉で片付けるわけにはいかないほどの社会問題に発展する恐れがある。筆者の力不足でこの予想が外れてくれた方がむしろ良い、が、そうもいかないだろう。

 「マスコミの間ではこうした問題は風化しつつある」という現場の声も聞いた。マスコミの端くれとして胸に突き刺さる思いがしたが、筆者ひとりの力はたかが知れている。問題解決のためにも、全国に散らばる一級建築士、ゼネコン、マスコミが一致団結して再改正を訴えることが必要ではないだろうか。 (つづく)

【大根田康介】

※当コラムは過去に情報誌『I・B』およびネットI・Bにて書いたものを集約し、加筆修正したものです。

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