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東京レポート

「かんぽの宿」譲渡問題で、オリックスにブーイングの嵐(上)
東京レポート
2009年1月16日 11:06

 日本郵政が「かんぽの宿」70施設についてオリックスグループと一括譲渡契約を結んだ問題は、大きな政治問題として浮上。4月1日の譲渡完了は困難になった。

 オリックスグループへの譲渡に待ったをかけたのは鳩山邦夫総務相。オリックスの宮内義彦会長が小泉政権の規制改革・民間開放推進会議の議長を務め、民営化論議を主導していたとして「国民で出来レースと受け取る可能性がある」というのが、その理由。

 小泉構造改革路線に距離を置いてきた鳩山総務相が、格差社会と地方切り捨てを生み出した象徴的存在である宮内会長を槍玉に挙げた格好だ。

「かんぽの宿」の一括売却

 日本郵政の保養宿泊施設「かんぽの宿」は、郵政民営化関連法で2012年9月末までに、譲渡もしくは廃止することが決められている。年間で50億円規模の赤字が生じているうえ、郵政や金融など本業部門との事業の関連性が薄いためだ。

 日本郵政は「かんぽの宿」72施設のうち、71施設の一括売却を目指して、08年4月に公募を開始した。収益性の高い施設と赤字施設を合わせて売却した方が、従業員の雇用を確保しやすいと判断した。ただ、コンサートホールなどを持つ「ゆうぽうと」(東京・品川)は単独でも高値で売却できるとして、一括譲渡の対象から外した。

 公募には27社が応募。2度にわたる競争入札を実施。昨年12月25日、オリックスグループへの70施設の一括売却が決まった。施設全体の簿価は141億円で、負債を差し引いた資産は93億円。オリックスへの譲渡額は108億円だった。

 売却先が、投資ファンドや他の不動産会社であれば、何の問題もなかった。規制緩和の旗振り役を務め、「平成の政商」と呼ばれた宮内氏が会長しているオリックスだから問題になった。オリックスへの「かんぽの宿」の譲渡が報道されると、インターネット上には、「宮内氏の利権漁り」を糾弾する書き込みが相次いだ。

 小泉構造改革路線に批判的な立場をとり、郵政民営化についても「大胆に見直す必要がある」と語ってきた鳩山総務相は、宮内氏の改革利権を見逃さなかった。宮内氏を槍玉に挙げることで、構造改革派に攻撃を仕掛けたのである。(つづく)

【日下淳】

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