16日、自民党本部で一院制を目指す議員連盟の総会が開かれた。同議連は、2008年に結成されていたもの。総会では、小泉純一郎元首相が「一院制移行を次期衆院選挙のマニフェストに盛り込むことができるように」と事実上の指示。4月をめどに提言をまとめる方針を確認した。まさに奇策である。
小泉元首相は「参議院も廃止、衆議院も廃止。新たな議会を開設し、首相は公選」と述べた。出席した中川秀直元幹事長らも「マニフェストに盛り込めばいい」と明言している。
もしマニフェストに「一院制」を盛り込んだ場合、総選挙に向け支持率の低迷に苦しむ自民党にとっては、有権者をひきつける材料になる可能性もある。国会議員の数を大幅に減らせるうえ、有権者が直接首相を選ぶことができれば、選挙を経ずに首相の座をたらい回しすることもなくなる。
一方、一院制にした場合、チェック機能が働かないなどデメリットも指摘される。実現には、国の仕組み自体を大きく変える必要が出てくる。何より首を切られる側の国会議員が、どこまで真剣に実現を目指すかがポイントである。総選挙目当てに打ち上げたのなら、すぐに底が見えてしまうだろう。当の小泉元首相は次期総選挙には出馬せず、息子を後継に指名している、いわば気楽なご隠居生活。国会議員の数が減ろうが、首が飛ぼうがどうということはないのだ。一院制、首相公選は小泉元首相の持論だというが、現職首相の時に言い出してほしかった。
面白い提言ではあるが、国民も含めての十分な議論が必要だ。政治の閉塞感を打ち破る良い機会にはなるかもしれない。ただ、プレイヤーの顔ぶれが変わらないということならば、数を減らしても無意味だと思うのは私だけだろうか。
【頭山 隆】
*記事へのご意見はこちら