破産手続開始申請 負債総額 3社合計59億1,800万円
1月26日に(株)シックスと関連会社のシックスサービス(株)、シックスエージェンシー(株)は福岡地裁に破産手続開始を申請した。
負債総額は、シックス50億100万円、シックスサービス5億4,500万円、シックスエージェンシー3億7,200万円で、3社合計59億1,800万円が見込まれる。
●投資用ワンルームで地場トップクラスに成長
(株)シックスは、1990年3月に代表の鱒渕龍彦氏が投資型ワンルームマンション販売会社での経験を基に独立したもの。福岡市中央区、博多区、南区を中心とした福岡都市圏で「ピュアドーム」シリーズの投資型ワンルームマンションの販売を行っていた。
堅実な運営、無理をしない販売方法は業界内でも定評があった。年々伸ばしていた供給戸数が500戸前後に達してからは、それ以上無理をしない方針を採り、コンスタントに500戸前後を販売していた。福岡マンション販売ランキングでも毎年上位に名を連ねるなど実績は高く、投資用ワンルームで地場トップクラスに成長していた。
●家賃保証問題などで騒々しい年明けに
順調に業績を伸ばしてきた同社だが、昨年来の不動産不況の影響などから仕掛け物件が減少し、以前に比べて新たな資金の調達がスムーズに進まないなど、大きな影響を受けていた。
また、昨秋にはオーナーに対して「家賃の支払いが滞る」といった噂が流れて信用不安を招いていた。実際にオーナーの一部に対しての支払いが遅れていたようで、09年の年が明けるとそのオーナー達の不満が爆発し、問合せが急増していた。
同社は1月6日からの営業だったが、朝から電話してもテロップが流れるだけ。社員は出社していたが、「一般業務は7日からのため、電話の(テロップと通常との)切り替えはしていない」との説明だった。7日からは通常業務に戻るという話だった。
翌7日も、電話がひっきりなしで、対応に苦慮している様子が窺える状況が続いた。一部の業者に対しては「9日に家賃問題を含めて処理できるので心配しないでほしい」と説明を行い、その9日に遅れていた分の一部を支払うことで当面を凌ぐなど、綱渡りが否めない状況に追い込まれていた。
●遂に全ての金融機関が見放す
業界トップクラスまで成長を遂げた同社も、時代の流れに押し流された。昨年から金融機関の対応も厳しい状況が続き、販売物件の回収資金で何とか凌ぎ、9日の決済や、今後の資金計画もマンションの販売によるものだった。
営業で何とか踏ん張り、販売物件の回収で凌ぐことを計画していたが、ここに来て金融機関の大半が同社に見切りを付け、販売物件の住宅ローンやクレジットも見直すことになったという。遂に金脈が全く尽きたことと、26、27日のオーナーに対する家賃支払いの目途も立たず、最後に残ったのは破産手続開始申請の道だけだった。
【石崎 浩一郎】
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