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東京レポート

暴かれるか「コリンシアンパートナーズ」の闇(下)
東京レポート
2009年1月29日 08:54

仕組んだ公認会計士の周辺

 日経記事には、この公認会計士の名前は伏されているが、この人物は投資ファンド「コリンシアンパートナーズ」(07年7月に解散)の元代表取締役の中澤秀夫氏(51)である。中澤氏は大阪に公認会計士事務所を置き、東京でもファンド関連事務所をもち、業績不振企業の資金調達に関わる会計士として知られている。
 同ファンドの、もう1人の代表取締役が鬼頭和孝氏(34)。慶應大学卒業後、大手監査法人に就職。鬼頭氏が中澤氏と知り合ったのは、鬼頭氏が大手監査法人を辞め、中澤氏が籍を置いている監査法人に転職した時とされている。
 M&A(合併・買収)に精通した中澤・鬼頭の両氏が、クリスタル買収のスキームを描くわけだが、もう1人、重要な人物がいる。格闘家である。若い頃、戦後最大の経済事件と呼ばれたイトマン事件で暗躍した許永中・受刑者のボディーカードを務めていた。
 この格闘家は、広島県呉市出身。20歳のころから港湾荷役などの人材派遣をやっていた。そのさばきのうまさと度胸のよさが気に入れられてクリスタルの林オーナーに可愛がられて、関西で仕事をするようになった。
 そもそもGWGによるクリスタル買収は、林オーナーの意向を受けた格闘家が、格闘技団体代表に相談して始まった。売却の意向を聞きつけた中澤・鬼頭両氏が、専門知識を生かして買収のスキームを立案。買収の受け皿としたのが、コリンシアンパートナーズ。格闘技団体代表を通じてGWGの折口雅博会長に買収話が持ち込まれた。GWGは格闘技団体が主催する選手権の協賛企業として親交があった。
 クリスタル買収で、コリンシアンファンドに出資した「他の投資家」は383億円ボロ儲けした。このうちの約180億円を運営したコリンシアンパートナーズが受け取り、約200億円を格闘家・格闘技団体らが分け合った。
 彼らが単独で出資したわけではない。303億円を出資した複数の投資家がいる。出資者には闇の勢力の名が取り沙汰されている。闇に消えたカネを巡って、国税と東京地検は大掛かりな脱税やマネーロンダリングを想定しているのである。

トランスデジタル事件に登場

 ファンドを運営した中澤・鬼頭両氏は、出資者から受け取った報酬で懐具合は潤った。鬼頭氏は、TD投資事業組合を自前で運営するようになる。この投資事業組合が買収したのが、08年9月1日に民事再生法を申請したジャスダック上場のシステム開発会社、トランスデジタル(東京・千代田区)。資金調達直後に倒産したため、調達したはずの31億円はどこへ消えたのかとの疑惑を招いた。
 TD投資事業組合が約20億円の資金を投じてトランス社の筆頭株主として登場するのは08年3月。TD投資事業組合は、取締役と執行役員を派遣して経営権を掌握。小切手を乱発し、その乱発した小切手の決済のために、MSワラントを発行。調達した31億円は、高利資金の返済に消えた。一般投資家から資金を巻き上げて荒稼ぎする。そのシナリオを描いたのが、TD投資事業組合の鬼頭氏だ。
 TD投資事業組合には、名うての事件師たちが出資した。こうした魑魅魍魎が群がり、食い潰された結果がトランス社の倒産劇であった。
 彼らが手がけたのは、クリスタルやトランス社だけではない。大証2部上場の住宅会社、千年の杜(現・東邦グローバルアソシエイツ、東京・港区)や大証ヘラクレス上場の青果卸会社、ビービネット(大阪市)などの上場企業の資金調達や経営に関与している。
 こうしたグレー人種が勢揃いしたのがコリンシアンパートナーズであった。捜査当局は、その出資者にまで切り込んでいくのか。これが最大の焦点だ。

【日下淳】

                         

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