佐賀銀行包囲網
周辺の金融機関による佐賀銀行包囲網は、こうして次第に狭められていく。同行の西には、驕ることなくバブルの影響を最小限にとどめた十八銀行と、影響は大きかったものの、ふくおかフィナンシャルグループの一員として再建された親和銀行がある。東には筑邦銀行・筑後大川信金があり、北には九州最強の福岡・西日本シティ両銀行が君臨、南には大牟田柳川信金がリテール事業を強化したうえで身構えている。佐賀県は佐賀銀行の牙城ではあろうが、今後、同行を取り巻く環境は、金融機関の再編や市場獲得競争が水面下で熾烈化するなど、厳しいものとなるであろうことは、目に見えている。経済不況に突入している現在、時代に即応し、先手を取ることができなければ、ババを掴むことになりかねない。かといって、慎重になりすぎると経営が成立しないという、ジレンマがある。コストダウンにより利益構造を改革することにしか生き残りの道がないのだとすれば、有明銀行(十八+佐賀+筑邦銀行)の成立も現実化するだろう。
不動産ミニバブルによって景気が浮上していたことから、業界に再編の波が迫りつつあることは、話題ともならなかった。しかし、地方にあっては(1)バブル時代の不良債権処理は完全に終わっていない (2)銀行収益も一昨年より減少し続けている (3)世界的な景気後退が地方経済へも波及している、といった問題が明らかに見てとれる点からしてみても、業界が再度大きなうねりに洗われることだけは間違いない。
佐賀銀行は、福岡ではサブ銀行に甘んじているのが現実である。有名人を呼んで無料セミナーを開催し、参加者へ営業をかける方法も、確かに必要ではあろう。しかし、それだけでは、メイン銀行への道は程遠い。幹部社員の意識を改革し、行員の能力を高め、地域企業を育成するという地道な活動こそが、佐賀銀行のメイン率を高めるのであり、生き残るための術でもあろう。例え有明銀行に統合されたとしても、その中で主導権を握り得る存在になるためには、福岡市場における顧客占有率のアップを図るしかない。