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安易な民事再生法申請に疑問符 大長商事(株)(2) | 倒産を追う
特別取材
2009年2月 3日 09:13

大長商事(株)民事再生法に踏み切った経緯

 民事再生法の申請に至る最終局面を、同社代表の陳述書に基づいて検証してみる。
 同社の倒産時点での非常貸借対照表では、現預金残高が約4億4,800万円と記載されている。だが同社は、アミューズメント施設(ゲームセンター)の運営が主力事業であり、「両替のために各店舗で常時現金を保持しておかなければならず、店舗も39店舗あるため、1億5,000万円程度は店舗の資金として他の支払などに流用できない金銭」としている。
 
 また「上記現預金のうち定期預貯金が約1億5,000万円あり、そのうち約1億円に担保設定がされているため自由に解約できない状況にある。現実に資金繰りに回せる金額は当座預金と普通預金の合計ということ」になるとしている。08年12月31日時点では、当座預金の残高が1億1,450万円、普通預金の残高が2,189万円であり、合計の1億3,640万円が通常の業務資金となる。

 この状況から1月の5、10日ごとの回収と支払いがなされていくと、1月21日時点での残高は約6,860万円となる。
 
 さらに25日には残高は約3,000万円に減少する。「1月末には銀行の支払などがあり、期限通り支払えば約1億8,000万円の資金不足を生じる。実際には、短期の銀行支払の2億円については、ローリング(借り換え)により返済とほぼ同額を借入できる見込みだが、確実ではなく、また今期の決算が赤字になることが確実なため、そうなると早晩銀行がローリングに応じなくなることは明らか」。
 
 また「短期借入をローリングした場合、無担保の定期預金を解約することにより、かろうじて資金繰りを行なえることになる。しかし、その場合の残高は約2,000万円となり、私達の感覚からすれば考えられないぐらいの少ない金額」としている。「数年前の良いときにはこの残高は3億円程度を示しており、2,000万円となると本当に当日の時間単位で入金、支払いを繰り返すことになり、自転車操業の極み」とも述べている。

 資金繰り状況については、今期(42期)の2月~5月にまとまった長期借入により資金確保が出来ているが、これは前々期(40期)の決算内容を資料に融資を申し込んだからであり、その後、借入による資金調達が減少、11月以降はほとんどなくなっているとしている。最後は「当面の資金繰りが困難であること、および銀行からの資金調達の目処も付かず再生申立を決めた」と結んでいる。

矛盾と問題が浮き彫りになる
 
 ここまで同社が倒産するまでの道程を振り返ってきた。だが民事再生法の申立書で述べられている上記内容について、多くの反対意見があるようだ。とくに同社に融資していた銀行には「騙された!」との思いが強い。同社の取引銀行は16行に及ぶが、「金融機関は正常先に分類していた」(銀行関係者)と聞かれており、結果的に無担保での融資金額が大きく膨らんでいる。この結果、別除権付債権者よりも一般債権者に名を連ねる銀行が多いという異様な状態となっている。次回は、同社の倒産に内包する矛盾と問題について検証する。(つづく)

【緒方 克美】

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