トップの姿勢で組織が大きく変わるということについては、誰しも異論を挟まないだろう。市役所職員あるいはOBで、古い時代を知っている人ほど現在の吉田執行部には手厳しい。
「新しいことをやろうとしても『リスク』をあげつらい、何でもつぶされる。市長にとってはこども病院問題がトラウマになっているんだろうが、副市長2人までも臆病になっている。思い切った施策をやろうとしても無理。あと2年間、静かにしている方がいいかもしれない」(現役職員)
「山崎さんの時よりひどくなっている。停滞感でいっぱい。組織の人間といえども、トップの意気に感じて動くもの。(今の市長では)『この市長のためなら、何としてもやり遂げよう』という気持ちが湧いてこない。進藤市長時代は知らないが、桑原市長時代はもっとのびのびとしていた。山崎さんがオリンピックを言い出さなければこんなことにはならなかった。ご指摘のように、吉田市政の間は『失われた4年間』になりかねない」(現役職員)
「進藤市長は『君達に任せたよ』というタイプで、職員も奮い立った。桑原さん時代はぴりぴりしていたけど、市長に明確な街づくりの青写真があったから職員はついていけばよかった。山崎さんからおかしくはなったが、それでもまだ市役所内部に明るさがあった。今の市役所は暗い。後輩達も愚痴ばかり言ってくる。福岡の街を知らない人を市長にした報いだよ。何も分からないから、面倒は職員任せで、責任は取らない。こんなはずではなかったというのが、実は市長自身の思いかもしれない。早めにお引取り願ったほうがいい」(市OB)
こうした空気は議会筋にも伝わる。ある保守系議員は「市長は財界にすり寄って次の市長選を乗り切るつもりだろうが、財界でも大方は市長と距離を置いている。問題ばかりが噴出する吉田さんに、危うさを感じ取っているのではないか。2月議会は荒れるかもしれないよ」と不気味な予言。
その昔、番記者であった関係から麻生首相に近づいたといわれた吉田市長だが、最近は民主党の若手県議あたりに「食事でも」と声をかけているという。自民党をはじめ野党会派は百戦錬磨。足場が弱い吉田市長の動きは、民主党以上に知り尽くしているようだ。
しかし、推薦母体であるはずの民主党からも吉田市長への手厳しい声が聞こえる。県連所属の議員は市長について「こども病院のとばっちりが次期衆院選立候補予定者に及んでいる」と嘆く。どこにいっても「吉田をなんとかせい」とのお叱りばかりなのだという。ここでも恨み節なのだ。
再燃したこども病院問題に加え、市役所内外で囁かれる次の疑惑と、お騒がせが続きそうな吉田市政。誰か何とかしてくださいと頼みたいのは、市民の方である。
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