―情報の価格が下がっていますが、今後ネットの世界はどのようになっていくと思いますか。
堀江 物理的にはメモリや回線などに、テクノロジーの進化によってブレイクスルーが起こりました。ひとつは光ファイバーのWDM(光波長多重)化があります。それによって情報の流通コストが何百分の一、何千分の一になりました。WDM化によって回線の使用効率が大幅に向上したのは、画期的な発明だと思います。もうひとつは既存の銅線を使って通信ができるようになったことと、無線技術の進化です。ここ10年、そうしたインフラの整備がありました。
こうして情報の流通コストが下がりましたし、これからもどんどん下がる。そのため、タダに近くなるのも当然の話です。まさにそれは、グーテンベルグの活版印刷がヨーロッパに普及し、それまで聖書なんか見たこともなかった庶民が低廉な価格で読めるようになり、聖書の知識が広まったぐらいの革命ですよね。いやむしろ、光ファイバーのWDM化はそれとも比べようがないくらいの革命ですよ。
技術的な付加価値の値段が下がっているのもインターネットの特徴です。僕がブログにすごく注目したのはまさにそこにあるんですよね。ブログっていうのは、技術をコモディティー化する一番大きな流れです。
僕らがインターネットビジネスをやっていたころは、ウェブサイトを作ること自体がビジネスになっていたわけですから。それもかなりの高付加価値で。それがブログではタダで作れるということに他なりません。コンテンツマネジメントシステム(CMS)で、誰もが特別な知識や技術がなくてもサイトを作れるようになりました。
これってすごく革命的だと思ったし、そういう時代が来ると思ったからネットビジネスをしていました。ブログの出現によってウェブサイトを作ることはビジネスではなくなったと思います。
そうなるとどうなるか。ネットビジネスのインフラを提供する企業は残るでしょうが、それも数社に収斂されていきます。業界が成長すれば寡占化が進んでいきますから。もっと小さいビジネスをしている人が花咲いてくる時代になるでしょう。たとえば、グーグルアドセンスやオーバーチュアを使った広告ビジネスとか、アマゾンを使ったサイトが収益を上げるようになってくるんではないでしょうか。
【大根田康介】
堀江貴文氏のブログ→六本木で働いていた元社長のアメブロ
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