国土交通省 航空局 空港部
計画課長 干山 善幸 氏
国と福岡県、福岡市が共同で進めてきた福岡空港の総合調査の終了が確認された。総合調査のステップ3では近隣空港との連携案は抜本的な方策とはなりえないとの結論が下され、ステップ4では新空港建設案となる三苫・新宮ゾーンの水深12m案と、滑走路増設案の西側配置(滑走路間隔210m)改良案に絞られ検討されてきた。そこでデータ・マックスは、本年度中に麻生知事が両案のどちらかを選択することになっている福岡空港問題について、国土交通省航空局空港部の干山計画課長にお話を伺った。
―現在の航空行政はどのような流れにあるのでしょうか。
干山 現在は東アジア地域における空港整備の進展による空港間競争の激化により、空港政策の重要課題は「整備」から「運営」へシフトしています。アジアを始めとする国際的なヒトとモノの流れの増大に対応し、人口の減少・高齢化という我が国の状況等も踏まえなければなりません。
また、国際競争力、地域活力の向上、安全安心の確保やアジア・ゲートウェイ構想の実現化に向けて、選択と集中により真に必要な事業に投資の重点化を図りつつ、戦略的な新空港政策を推進しています。
―「アジア・ゲートウェイ構想」とはどのようなものですか。
干山 これまでの航空政策を大転換し、アメリカ流のいわゆるオープンスカイではなく、国際的に遜色のない航空自由化(アジア・オープンスカイ)による戦略的な国際ネットワークの構築を「アジア・ゲートウェイ構想」と呼んでいます。具体的には、アジア各国との間で互いに旅客・貨物分野双方について、事業会社、乗入地点、便数の制約をなくす「航空自由化」を二国間交渉により推進しています。地方空港においては、観光振興等を推進するため、自由化交渉を加速化させる目的で、交渉妥結前でも路線開設や増便等を暫定的に認めています。
―国家戦略上での福岡空港の位置づけとは。
干山 地域における拠点的な空港は、その機能やネットワークの充実に向けた活用を推進しています。福岡空港及び那覇空港は、2010年代には空港能力が限界に到達することが見込まれることから、段階的に進められている総合的な調査の結果を踏まえ、抜本的な空港能力向上のための施設整備を含め、将来需要に適切に対応するための方策を講じる必要があると認識しています。
―航空輸送の推移と今後の見通しはどうなのでしょうか。
干山 国内航空需要の2005年実績は旅客数・貨物量ともに2000年時の予測値を下回っています。2005年時の国内航空需要の予測値は2000年時の予測値に対して、旅客数を18%、貨物量を11%下方修正、また、国際航空需要は旅客数を21%、貨物量を6%の下方修正を行ないました。その後2007年6月に出された航空分科会の航空需要予測を参考に、福岡空港の将来発着回数の考察に基づけば、滑走路増設方式代表案であれば2032年頃までの需要にはおおむね対応可能、新空港方式代表案であればその後の長期的な需要増加にも対応が可能であると認識しています。
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