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安易な民事再生法申請に疑問符 大長商事(株)(3) | 倒産を追う
特別取材
2009年2月 5日 17:09

大長商事(株)虫のいい再生計画が認められるのか

 前回のレポートでは、同社が倒産に至るまでの経緯を振り返った。売上高の落ち込みから預貯金残高が大きく減少し、資金繰りが「自転車操業の極み」となることから、陳述書は「当面の資金繰りが困難であること、および銀行からの資金調達の目処も付かず再生申立を決めた」と結ばれている。だが、こうした同社側の言い分に対して金融機関からは異論が出ている。それが爆発したのが1月26日午後3時より福岡の中央市民センターで行なわれた債権者集会だ。

銀行の自己査定では正常取引先に区分

 債権者集会での質疑応答時に、同社側の言い分に対して、ある銀行が厳しく非難した。「寝耳に水の話」であり、「リースを除くと銀行が債権額の88.2%を占めるにもかかわらず、銀行を蔑ろにしている」「これだけのことをやっておいて、今後、銀行の協力が得られると思うのか!」という趣旨の発言があった。それでも怒りが収まらなかったようだ。さらに社長のベンツや預貯金についてまで追及した。「配当の金額云々の問題ではなく、銀行としては(やり方が)まったく納得できない」というのは本音だろう。同社の取引銀行は16行に及んでおり、発言した銀行以外の銀行も、おおむね同じような思いを抱いているようだ。
 各銀行とも08年夏頃までは、同社の経営内容が悪いとは思っておらず、秋以降に業績が急激に悪化していることは認識していたが、延滞実績もないため、法的手続きを取らなければならないほど悪化しているとは考えていなかったようだ。銀行がこうした判断をした理由は、同社と同社のメインバンクを中心に、再生に向けての動きがなされていたからだ。

 同社はメインバンクの指導により、08年11月頃から福岡県中小企業再生支援協議会で、再生を目指しての経営改善計画等の策定準備を行なっていた。福岡県中小企業再生支援協議会は、福岡県内の中小企業者からの再生に関する相談を受け、企業の再生に向けて、専門家による対応を段階的に行ない、経営改善計画策定までの支援をしている。同協議会は、福岡商工会議所が国からの委託を受け、公平・中立な立場で無料相談に応じている。
 同社は1月6日に同協議会へ資料を提出しておきながら、1月7日には弁護士に相談に走り、急転直下の民事再生法の申請となったのだ。
 銀行としては、もともとの経営内容が良かったこともあり、自己査定区分では正常な融資先に分類していたと聞かれる。このため信用貸付の比重が高く、担保もない焦げ付きが膨らんでしまった。さらに正常な融資先に分類していた企業がいきなり破綻したため、引き当ての問題や金融庁への説明など余計な問題を抱えてしまった。
 また「再生支援協議会で話が進んでいたと思っていたのに」「各銀行がリスケジュールを組めば再生の道はあったはず」「1月末の返済についても当座貸越の空枠で対応可能だったのではないか?」との思いがあり、これらが銀行の怒りを増幅しているようだ。

【緒方 克美】

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