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直撃インタビュー

平松庚三氏が語る「ライブドア再建の軌跡」(2)
直撃インタビュー
2009年2月10日 08:47

<私にとってのライブドア>

 ―突然の出来事で、大変なご苦労をされたと思います。どのような信念で乗り切られたのですか。

 平松 あれから2年3カ月。前任者がおらず、何も分からないところから始まりました。3年分の貸借対照表を見ようにも、書類もトラック十数台分持っていかれていた。サーバーもロックされていてどうしようもない。そんな時にどうしますか?どうしようもないですよ。

 ただ一方で冷静な僕がいて、「これをもう少し客観的に見てみよう」と思って、まず非常時に乗り込んでくるクライシスコンサルタントを雇いました。「ホリエモン」のイメージから脱却するために、僕も普段はネクタイなんてしないんですが、見た感じを変えることから始めました。
 
 そして、1カ月ごとのブランディング調査を始めました。ライブドアはブランドの認知率はある意味で非常に高かったのですが、ブランドのロイヤリティが激減して大きなギャップが生じた。その差をずっと計っていき対策を講じてきました。

 そうした中、ソニーの盛田さんの“ネアカ論”に救われました。ネアカといっても、ただヘラヘラするわけではなく、リーダーとはどんなに苦しくても、眉間にしわを寄せてため息をつくなどの苦しんでいる姿を、絶対に社員には見せるなということです。“ネアカ論”とはつまり、1つ目はネアカのフリをして社員もお客さんもだます、2つ目は人をだましているうちに自分もだまされて、自分もポジティブ思考になってくるということです。

 ライブドアの経験を僕なりに解釈すると、苦しい時にこそ会社全体にポジティブな“気”を作り出すことがリーダーの役目だということに気付かされました。何にも状況が分からないということもあり、僕はまず明るい雰囲気づくりのためにお祭りをやったんです。節分の時に豆まきをしたり、バレンタインで全社員にチョコレート配ったり。でも、いくらやってもなかなか社員が元気にならなかった。ただ、少しずつ時間が解決してくれました。

 そのうち、どんどん新しいチームを社内に作りだしました。その中で、僕よりずっと若い連中に色々教えてもらったんです。この時、売上が9割も落ちていたんですよ。でも約2年後には、ライブドアの若い連中が必死になって単月黒字まで回復させました。すごいですよ彼らは。

 仕事は社長がするんじゃない。チームを作って、自分がどんなに血を見て泥を被ってでもそれを動かすことです。僕が幹部を雇う時に外さない3つの信条があるんです。1つ目はその分野において僕より優れていること、2つ目は必要な時にNOと僕に言えるかどうかです。堀江に必要だったのがこれなんです。3つ目は個人的な友達ではないことです。全然違う考え方や力を持っている人が集まるのがチームであり、いかにチームを作っていかに動かすかがとても重要なのです。イチローが9人いても野球は勝てません。(つづく)

【大根田康介】

【平松庚三氏 略歴】※小僧comホームページより

1946年生まれ。アメリカン大学(Washington,D.C.)コミュニケーション学科卒業。ソニー株式会社入社。ソニーで13年間勤務した後、アメリカンエキスプレス副社長、 IDGコミュニケーションズ社長、AOLジャパン社長などを歴任。2000年にIntuitジャパンのCEOに就任。2002年にMBOにて米国親会社から独立、社名を弥生株式会社に変更同社の代表取締役社長に就任。2004年全株式を売却してライブドアグループ入り。 2006年1月(株)ライブドア社長就任。 2007年4月社名をライブドアホールディングスに変更、代表取締役社長就任。2008年1月に人生の後半戦を楽しむ「人生のエンターテインメントパートナー」としてアクティブなシニアを応援する小僧com株式会社代表取締役会長に就任。

堀江貴文氏のブログ→六本木で働いていた元社長のアメブロ

※今回のインタビューに関しては、NBCコンサルタンツ様にご協力いただきました。

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