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<書評>学研編「戦争・紛争を考える感動物語」
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2009年2月12日 15:12

【気になる本、ナナメ読み】 vol.9

 「戦争・紛争」―それは人間の愚かしい行為であり、未だに終わることのない悲劇でもある。先日も、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への爆撃で、多くの罪無き人々が亡くなった。自らの主張を暴力で正当化することを断じて許すことはできない。

 今回紹介する『短編!ほんとうにあった感動物語』シリーズ第5巻「戦争・紛争を考える感動物語」は2月10日に発刊された、子ども向けに書かれた戦争・紛争にまつわる短編をまとめたもの。日本の戦時中の話や、世界各国の内戦・紛争において支援活動する人たちの活動を、感動的なエピソードを交えて紹介している。

 全体を一読して感じたのは、やはり最大の被害者は子どもたちであり、支援活動の動機もまた子どもたちを救う点にあるということだ。

 同書の短編のひとつに、福岡に本拠を置くCMC(カンボジア地雷撤去キャンペーン)による、カンボジアにおける地雷撤去活動の話(高橋うらら著)がある。実は筆者も、CMCとともにカンボジアに赴き、ゴミ山で働く子ども、身寄りのない子ども、そして地雷被害に遭い手足を失った子どもたちを見て、これまでに経験がない衝撃を受けたことがある。

 また、実際に地雷原に入って本物の地雷を見た。それは手の平サイズで、こんなに小さなものが人ひとりの人生を台無しにしてしまうのだと思うと、何ともいたたまれない気持ちになったし、こうした存在価値のない兵器は早く取り除くべきだとも感じた。

 このほかにも、大人が読んでも考えさせられるエピソードが分かりやすく紹介されている。日本でも戦争の経験がまったく無い世代が大人になっており、いつ何時、65年前の悲劇を繰り返さないとも限らない。子どもや孫がいる人たちは、同書を子どもたちに読むよう促し、擬似体験ながらも戦争・紛争が生み出す悲しさ、無意味さを学んでもらうことが大切ではないだろうか。

【大根田康介】

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