職員をはじめ4名逮捕の衝撃

　10日、福岡県警は筑紫野市と太宰府市などで構成される一部事務組合の「山神水道企業団」が発注した事務棟建設工事価格を業者側に漏らしたとして、競売入札妨害の疑いで企業団工務課課長補佐の冨岡幹治容疑者らを逮捕した。業者側では（株）旭工務店（福岡市博多区）の吉弘直彦社長、元旭工務店常務で田中住宅産業（株）社長・田中隆幸氏など3名が逮捕された。

　事件は2006年7月に行なわれた同企業団の事務棟建設工事発注（指名競争入札、予定価格1億1,590万円、落札価格1億1,000万円、落札率94.9％）において、冨岡容疑者が田中容疑者に工事の予定価格に近い金額を漏らしたことによるもの。県警ではさらに詳しい事件の解明を急ぐとされている。

　弊社にも逮捕情報が届いたのは10日夕方。旭工務店の社長が逮捕されたことで社内は騒然となったが、「ついに来たか」というのが第一印象だった。この案件については、入札が終わった直後から筑紫野市内で黒い噂が囁かれていたからだ。今回の逮捕劇を受けて、筑紫野地区の徹底取材を行なった。

　事件の発端となった事務棟に寄ると、休日にもかかわらずゲートが開いている。間もなく2台の車がすべるように入りこみ、捜査関係者とおぼしき数人が事務棟へ―。まさに県警が家宅捜索に入った瞬間だった。報道関係者が数人いたのだが、その模様を撮ることが出来ず、出てくるときのタイミングを撮るまで持久戦の構え。この状態だと話を聞くことは出来ないだろうと事務棟を後にした。

　筑紫野市役所にも寄ってみる。休日なので正面玄関のガラス張りの自動扉は作動せず閉まったまま。だが、奥の部屋の灯りは点いており、職員が居るのは間違いない。ここも同様に捜索を受けているのだろうか。結局、ここでも職員の話を聞くことはできない。

　取材対象を変えてみよう。以前、建築工事業者を取りまとめていたことから、今でも事あるごとに噂が絶えない同市の市議会議員Ｓ氏に当たろう！アポなし取材を決行することに決め、その市議の自宅に向かうことにした。そして、事件の本質へ迫る事になる。（つづく）

【道山　憲一】

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