昨年より問い合わせが急増している(株)原弘産(本社:山口県下関市)。同社が、2月2日に2012年満期円貨転換社債型新株予約券付社債の繰上償還に関する交渉の進捗についてIRリリース情報を出したことは報じたとおりだが、本件転換社債の所持人は、その保有する本件転換社債を2009 年2月20 日にその額面金額で償還することを同社に対し請求する権利を持っている。
ところが、原弘産は、額面金額での償還はできない、と開き直った形だ。実際に全額償還すると60億円の資金が必要なわけだが、同社は業績悪化から資金を作ることが出来なかった。どうにか9億円超は用意できたので、これを償還資金とした。
つまり、全額償還を請求されたら会社は存続できないので、倒産してのゼロか15%のどちらかを選択してください。ゼロより15%だけでもお返ししたいとの方針を示したのだ。
まだ、社債所持人の全員から承認を得たわけではないので「これからが調整になります」(原弘産談)とのことだが、要するに、満期まで待ってください、待っていただけない場合には、15%しかお支払できません、と言ってるわけだ。しかし、満期となった際の同社が健全な状態にあるかは不透明であり、事実上、ゼロか15%の返金かの選択を要請した形となっている。
【石崎 浩一郎】
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