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外食業界の問題点を探る (2)
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2009年2月17日 08:54

2. 低迷の根本原因とは何か

 では、低迷の根本原因とは何か。一つは成熟した市場に対し、業態なり、メニューなりの新たな提案がなされていないことだ。また、チェーン店の場合、本部主導で戦略を立てるため、現場が商圏に応じた独自の店舗運営や販促策の立案をしづらい点がある。
 さらに組織が硬直化しているあまり、景気が後退しはじめた時に、低価格戦略など素早い対策を取りきれなかったこともある。
 一例を挙げよう。吉野家HDはBSE問題の発生により、単一メニューではリスクが大 きいことから、07年9月に焼肉チェーンの「牛繁ドリームシステム」を持ち分適用会社にし、民事再生法を受けた大阪の「ラーメン一番本部」から事業を取得するなど、多角化に乗り出した。しかし、どれも目新しいメニューではないことから、1年を経過しても軌道に乗せられず、苦戦を続けている。
 昨年10月には単独の牛丼チェーン店舗数では、「ゼンショー」が運営するすき家に首位を奪われる(08年12月、すき家1,160店、09年1月、吉野家1,098店)など、繰り出す対策がすべて裏目に出た格好だ。
 今後、ラーメンや寿司のはなまるといった非牛丼事業にテコ入れして、牛丼頼みの経営スタイルから脱却するにしても、景気低迷の状況では抜本的な対策にはならない。経営が好調の時に業態なり、メニューなり、新機軸を打ち出さなかったことが、今になっては大きなツケになったと言わざるを得ない。

本部主導型では、現場は育たない

チェーンシステムから個店運営主義に <br />
シフトしたロイヤルホスト<br />
 持ち株会社化した「ロイヤル」については、本部主導のマネジメントが課題になっている。同社では永らく店長が店舗や従業員の管理・教育に加え、窓ふきやクレンリネス(清掃)などの作業にも従事してきた。
 それは同社独自の美学としてとらえられているが、実際は本部主導の画一化したマニュアル論理で、店長自らのマネジメント能力や運営手法を育む機会を失わせていた面もある。
 また、05年には全国を4つに分けて子会社化。ロイヤル関東はトップダウン方式でコストダウンなど数値管理を徹底したが、老朽化した店舗の改装費も捻出することができず、逆に客離れを引き起こしてしまった。
 価格戦略についても、ガストやサイゼリヤが勢いづいていること考えると、低価格路線 がお客の支持を得ているのは間違いない。ところが、ロイヤルホストは昨年の12月にやっと700円台のメニューを出すなど、完全に他社の後塵を拝している。
 同社は今年、ロイヤルホストを中心に60店舗を閉鎖する。既存店のテコ入れでは、店舗 運営を本部から店長に移すロイヤル関西の「個店運営主義」を採用するという。これはマグロの解体ショーやライブの開催など、店舗独自でいろんなイベントを実施するものだ。
 どちらにしても、時代の変化に対応したスピーディーな経営判断をとらないと、業績の 回復は望めないようである。

【釼 英雄】

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