何度見ても「酩酊」である。中川昭一財務・金融相が、ローマでのG7、主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見でとんでもない醜態を演じて見せた。
記者団からの質問にまともな回答ができないばかりか、終始眠りに落ちる寸前という有り様。とろんとした目や生あくび、ろれつが回らぬ様は、まさに酔っ払いのそれ。全世界に向けて、日本国政治家のレベルの低さを見せつけてしまった。恥としか言いようがない。
ご本人は「風邪薬を多めに飲んだ」と言うが、大臣ともあろう人が、風邪薬を多めに飲んでも効き目は変わらない、ということを知らなかったのだろうか。薬が好きということならば、アル中ならぬドラッグ中毒ということになりはしないか。
酔っ払っていたと分かれば即クビ、そこで「風邪薬」の登場となったのかもしれないが、五十歩百歩の話である。薬の分量も分からない大人が、「百年に一度」という経済危機への処方箋が書けるわけもない。
16日、08年10月~12月のGDPが、年率12.7%のマイナスという、減少率でいえば35年ぶりの低さとなったことが内閣府から公表された。本来なら、こうした国家経済悪化への対応策を語るべき立場の「中川大臣」は酩酊事件への対応に追われ、まともな仕事ができていない。即刻辞任すべきであろう。
作家の故・司馬遼太郎氏は、日本固有の「名こそ惜しけれ」の精神は、世界に通用するものだと説いた。「恥を知る」ことの大切さを教えた言葉でもある。中川大臣の国際舞台での醜態は、世界中に日本の恥をさらしたに過ぎない。薬の飲み過ぎで「酩酊」する大臣には、名を惜しめと言う前に、命を惜しめと言わねばなるまい。「名こそ惜しけれ」とは、大切な命を捨てても名を惜しめ、ということなのだが、中川大臣に説明しても無駄だろう。
何も知らない小学校5年生の息子が、テレビニュースの中川大臣を見ていて「こんな人は辞めてもらったほうがいいねえ」と呟いた。子どもが見てもみっともないということらしい。総理大臣は漢字が読めず、小学校で「太郎ちゃん」を流行らせ、財務大臣は世界に酩酊の醜態をさらけ出す。この国の政治家の姿を見て、泉下の司馬遼太郎氏は何と言うだろうか。
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