(株)東峰住宅の2005年事業計画書がある。旧東峰住宅産業は03年12月、私的整理のためのガイドラインによって会社分割され、現業部門が既存の子会社「ホーム計画」と事業統合して(株)東峰住宅となり、不良資産管理部門が「春吉住宅」となった(春吉住宅は2006年9月に特別清算を裁判所に申請、12月受理された。負債総額は約53億円とされている)。
私的整理ガイドラインは、東峰住宅産業のメイン銀行である佐賀銀行だけが債務免除等を行なう場合は使用しないことになっていた。しかし、同社の取引行である親和銀行や佐賀共栄銀行にも不良債権処理の負担を求めたため、佐賀銀行主導でガイドラインを適用したのである。東峰住宅としての当初の銀行借入高は、短期が25億2,900万円、長期が24億9,300万円の計50億2,200万円。短期借入金は開発プロジェクトのための資金や当座の運転資金であったが、長期借入金は旧東峰住宅産業からの引継分であり、借入銀行へ返済する義務を負うものであった。また、資本金4億9,000万円のうちの優先株式480株(4億8,000万円)は佐賀銀行が取得した。この優先株式に対しては、一定の金利相当を毎期の配当により支払う約定となっていた。当然のことながら、長期の返済資金や優先株式に対する支払いのための原資は、事業利益しかなかった。
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