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外食業界の問題点を探る (4)
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2009年2月19日 08:55

4.  中食や新規参入組との競争激化

 レストランや居酒屋などの業態が低迷する中、堅調に推移するのが持ち帰りの弁当や惣菜を提供するHMR(ホームミールリプレイスメント)。いわゆる“中食”業態である。
 07年にほっかほっか亭から分裂し、総本部との訴訟にまで発展したプレナス。08年決算 では、対前年比0.8%増と健闘。神戸コロッケなど300店以上の直営店をもつ「ロックフィ ールド」は同6.1%増。デパ地下中心に惣菜業態を展開する「柿安本店」も同8.3%増と、低迷する業界で好調を維持している。
 好調の背景には食のトレンドが「外で食べる」から、「買って帰って食べる」に変化したことにもよるが、マンネリ化したメニューではもはやお客を引き付けられないことは容易に想像できる。ただ、中食業態も首都圏を中心に“駅ナカ”への出店が増え、さらに弁当の路上販売店など新規参入組も増えたことで、競争は激化している。
 路上弁当店は家賃を必要とせず、価格をギリギリまで抑えながら、お茶やみそ汁を付け るサービスで集客。ところが、原材料費が高騰する一方で、景気後退でお客の財布のひもは固くなり、売上げは下降気味だ。
 また、警察の道路使用許可を取っていないところもあり、不公正な営業行為ではないのかと指摘 する声も少なくない。業界のあだ花として一時はお客を引き付けることができても、外食 ビジネスである以上、コスト増や景気後退の影響は避けられないということである。

お昼時になれば弁当販売自動車が列を成すところもある路上弁当店

効率やチェーン論理は諸刃の剣

 地場の中食では経営破たんするところも出始めている。宅配寿司のふく鮨本舗三太郎を 展開する「ドゥ・イット・ナウ」は08年8月、福岡地裁に民事再生法の適用を申請した。
 同社は90年に創業し、福岡県内に約20店舗を展開。02年には約17億円の年商をあげた。ところが、破たん前は原材料価格の高騰に客離れも加わり、売上げが前年同月に比べ3~4割も減少していた。
 しかし、同社の経営には当初から問題があった。大手FFで店長経験をもつ社長の蔀章氏は、業者に対し食材の仕入れと引き替えに商品開発への協力を取り付け、さらに調理法 の指導を受けながらマニュアルを作り上げた。
 また、人材も学生アルバイトやフリーターを積極的に雇い、起業家精神や上場へのビジ ョンを熱く語り、社員化していった。
 しかし、店舗の賃料や厨房設備に思う以上に資金を要し、収益がでる前に資金がショー ト。97年には日本アジア投資の事業融資を獲得し、経営を起動に乗せるはずだったが、実際は03年度の株式店頭公開に邁進した。
 結局、素人が寿司づくりの格好は学べても、その本質がわかるはずもなく、マニュアルがあったところで、ビジネスモデル化はなしえなかったのである。同社の経営が行き詰まった真の理由は、寿司をハンバーガーと同様にとらえ、経営効率やチェーン論理を当てはめすぎたところにあるのかもしれない。

【釼 英雄】

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