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外食業界の問題点を探る (5)
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2009年2月20日 08:42

5. 外食産業が抱える問題と対策

福岡発祥のレストラン・ロイヤルホスト 07年度の売上高上位100社(資料:外食産業総合調査研究センター)のうち、対前年比マイナスが最も大きいところは、居酒屋の村さ来や中華レストランの王府井を運営する「村さ来本社」(16.2%減)。次いで焼肉や朝鮮料理の「安楽亭」(13%減)。
 他にも旬鮮酒場や和食レストラン天狗を展開する「テンアライド」(8.5%減)。ロイヤルホストも08年の通年売上高は6%減で、28ヵ月連続で前年比マイナスと低迷を続ける。居酒屋やレストランの落ち込みが激しい。
 売上げダウンの原因は、外食離れや景気後退もある。だが、本連載の1でも述べたように業態やメニューを開発し、そのフォーマットをチェーンシステムに乗せて多店舗化し、売上げアップとコストダウンを図る経営スタイルが時代にそぐわなくなってきているのも事実だ。
 また、市場の成熟化に伴い、全国どこでも同じ店、同じ味では、陳腐化して客離れを起こすのは言うまでもない。常に新しい業態を開発しなければならない一方、いつ食べても飽きない商品をも生み出すという、相反するテーマに外食業界は取り組まなければならないのである。これは外食業界全体にとっての永遠のテーマと言っていいだろう。
 また、店舗開発や出店政策にも課題がある。これまでは業態を開発すると、全国の立地や商圏を調査して、出店するやり方だった。しかし、職業分類や消費性向までチェックしてきたわけではないから、商圏人口のわりに売上げが伸びないことも起こりえたのである。

カギは新しい価値創造の提案

 では、どんな対策を打てば、客離れを解消し、売上げを回復できるのか。07年度に躍進した企業からそのヒントを探ってみたい。
 07年度決算で対前年比69.7%の伸びを示した「ダイヤモンドダイニング」は、首都圏を中心にバンパイアカフェや迷宮の国のアリスなど、ユニークなコンセプトの業態を展開。加えて、展開する業態はもつ鍋や焼き鳥、郷土料理など多岐にわたる。
 メニューについても、大手チェーンのように本部開発でなく店舗任せ。だから、店ごと
にいろんなメニューが提供できるため、陳腐化が避けられる。また、出店エリアは幅広い客層の集客が可能な都市部。90店舗中、8割が銀座や新橋などの駅に近い商業ビルに構える。しかも複数の区画を一括して借り上げ、複合店を展開。ここでは厨房設備を一つにして、運営を効率化している。
 つまり、1業態1店舗を目標にすることで居抜き物件も活用しやすく、初期投資が抑えられて早期に利益が出せるというわけだ。
 日本は各地域で独特の料理が生まれ、外食産業によりそれが全国区のメニューとされたものも少なくない。かたや世界中の料理が食べられ、次々に新しいものが入ってきている。
 もはやメニューも業態も出尽くした感があるだけに、お客の嗜好や流れをいかに捉えるか。そして、飲食店としての新たな価値を提案できるかが、カギになるようだ。

【釼 英雄】

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