―不況でCMが減り、テレビ業界が急速に冷え込んでいます。この状況をどのように見ますか。
堀江 昨年度の決算の時点でスポットCM収入が減って、それが足を引っぱってテレビ局が赤字経営になっているわけですよね。スポットCMは費用対効果が無い、というのは10年前から分かりきっていました。我々も何回か出していましたから。効果が薄いというより無いに近い。
それの化けの皮がはがれてきてマージンを落とし、それにサブプライム問題が追い打ちをかけて、次の決算時には番組提供広告が激減するでしょうから、大赤字になっちゃいますよね。もともと割高だったものですから。その売上がどこにいくかというと、半分くらいはネットにいくでしょう。
とくにナショナルスポンサー的なところは、テレビでやること自体を考えないのではないでしょうか。経済成長が止まっているわけですから、パイを広げるよりは、今のパイを安定して守る方にシフトしていくでしょう。
たとえば、キットカットというお菓子はネットに10億円使っているらしいですよ。テレビは一切やっていない。やめちゃったんですよね。キットカットという名前自体はターゲット層にほぼ100%知られているわけですから、あえてブランドの告知をやる必要はない。いかに知っている層に安定的に食べてもらうが大事なんですよね。そういうところにお金をかけて、たとえばQRコードで着メロがもらえるなどのサービスを使えば、効果をトラッキングしやすいし、すぐに効果が分かります。それはテレビでは絶対できないですよね。
僕はビジネスモデルが変わってきているんじゃないかと思っています。ただ、地デジのクオリティは非常に高いから、あれを利用しない手はないんですけど、利用の仕方がやっぱり良くないという気がすごくします。
今やマスというのは存在しない。何で存在しないのかというと、情報リッチになったからです。つまり、情報の流通コストが激減したわけです。だから誰でもタダに近いコストで十分な情報を得られるようになりました。それは素晴らしいことなんですが、そうなったがゆえに、嗜好の細分化が顕在化したのです。
【大根田康介】
堀江貴文氏のブログ→六本木で働いていた元社長のアメブロ