―日本のテレビ業界の戦略が間違っていたし、マスメディアとして意義が失われてきたということですね。
堀江 もともと嗜好というのは一人ひとり違うものですが、昔は情報をとるためのコストが高かったから、みんな我慢して自分をマスに合わせていました。最大公約数的なものに自分を合わせていたんですが、今はそんなことしなくても情報は手に入りますから、自分が好きな番組を見ればいいわけですから。
テレビを見ていて、民放はほとんどくだらないと僕は思っています。マンネリ化していると思いますし、あんまり見ないですよね。だから、見るとしてもターゲッティングして自分の好きなものしか見ないし、そもそも何ですぐに自分の好きなものが見られないテレビを見るのか、わざわざ録画してまで見るのかと思います。
そういう意味では、情報を選択してとることを知らない人しかテレビを見ないんじゃないですか。そもそも、テレビを何の疑問も持たずに見ているという視聴者は年収が低いはず。だから、高いものが売れないし、CMはますます減るでしょう。ネットでマーケティングして高所得者にターゲットを絞った方がいいですよね。そちらの方が効果的でコストも安くて済みます。ますますテレビの力は落ちてきました。もう手遅れでしょう。
僕はネットとテレビが共存共栄する流れを作りたかったんですけど、それができませんでした。かたやアメリカはメディアに関してはできていますよね。旧メディア勢力側が積極的にその流れに乗ろうとしたというのが僕の見方です。
たとえばニューズコーポレーションが、いち早くSNSのマイスペースに目を付けたことはすごいことだと思います。マイスペースの買収は僕らも考えていましたけど、日本の僕らがつけた値段とあれだけのネットワークを持ったニューズ社が出した値段がまったく違いました。その後、ヤフーに買わせようとした戦略自体も優れていると思います。タイムワーナーのAOL買収は失敗しましたが、それでもチャレンジしているわけですから。何で日本ではそういう流れが潰されるのか、僕にはまったく理解できないですね。
【大根田康介】
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堀江貴文氏のブログ→六本木で働いていた元社長のアメブロ