日本郵政の物件売却問題で、総務省が日本郵政に対し、報告要求や立ち入り検査の方針を打ち出すという。日本郵政保有の「かんぽの宿」などの不動産物件売却に関し、オリックスなどへの売却を決めた経緯などが不透明なため、日本郵政株式会社法に基づき強制的な手段をとる。
やはり、と言うべきだろう。郵政民営化で危惧されたのは、民営化することで巨大組織の中身が不透明になることだった。そして民営化後、弊害はさっそく現れた。データマックス取材班が追及した福岡市議会の政務調査費問題で、多額の郵便切手を売ったはずの特定郵便局が、民営化を盾に情報を開示しようとしなかったのである。郵政本体も同様であった。旧郵政公社時代は郵便日計簿などの情報公開に応じざるを得なかったが、民営化後はそうした情報は一切隠されてしまった。巨大組織を闇のベールで覆ったことにおいて、郵政民営化は天下の愚策だったのである。
案の定、何億円もかけて造ったかんぽの宿を1万円で売却したり、大半の物件をオリックスに格安で落札させたりと、やりたい放題。挙げ句、国(総務省)が求める入札経緯など肝心の情報についての提供を拒否した。明らかに民営化の弊害である。郵政民営化で何かいいことがあったのだろうか。過疎地の郵便局は減り続け、客の少ないATMは撤去が進む。サービスが良くなったという話など聞いたこともない。
これが小泉改革の置き土産だとすれば、私たち有権者も判断を誤ったということだろう。
郵政民営化は失敗だった。そう言われたくなければ、日本郵政の情報隠しを許さない新たな方策を考えるべきである。