―福岡の空港問題に関する国の見解をお聞かせ下さい。
干山 先の調査結果(ステップ3)から、福岡空港の能力増強のための抜本的な対策は、新設か増設に絞られました。しかし、どちらの案も一長一短で、国がどちらかの案を地域に押し付けるといったことはありえません。あくまで私たちは地域の合意形成を支援する立場ですから、2003年から始まった国(九州地方整備局、大阪航空局)と地域(福岡県、福岡市)が連携・協力した総合的な調査も、PI(パブリック・インボルブメント)を介して第三者機関による監視・助言を取り入れながら検討のステップを進めてきました。
―近隣空港との連携案もくすぶっていますが。
干山 ステップ3では新北九州空港や佐賀空港へのバス路線を大幅に拡充した連携について、複数空港を運用している国内外の事例を参考に、北部九州地域における空港の位置関係と利用特性を踏まえての検討を行ないましたが、近隣空港のアクセス利便性向上による福岡空港の需給逼迫緩和効果はわずかであることが明らかになっています。そのためこの方策は需給逼迫に対する抜本的な対応にはなりえないとの結論に至っております。
―最後に、新空港建設で課題となるのは何でしょうか。
干山 福岡空港の抜本的な方策を実施するにあたっては、多額の費用がかかることから、費用負担スキーム(資金調達計画)の検討も必要となります。これについては対応方策を決定した後に詳細に検討を進めることになりますが、新空港建設で合意形成がなされた場合、課題となるのは調達資金コスト、つまり借入金利が重要な課題になると考えています。滑走路増設案で2,000億円、新空港案で9,200億円の事業費を見込んでいますから、いずれにしても多額の初期投資に対する地元の拠出資金がポイントになります。ゆえに、地域の合意形成なくしてこの事業は考えられませんし、新空港建設ともなれば議論のつくされた合意形成を私たちは期待しています。
―本日はご多忙の中、ありがとうございました。
(1月26日 国土交通省にて)