NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

東京レポート

消費不振で百貨店、総合スーパーが落ち込むなか「ヒートテック」で独り勝ちしたユニクロ(上)
東京レポート
2009年2月 9日 13:03

 米国発の世界大不況が日本の産業界を直撃。自動車、電機といった基幹産業が奈落に沈んだ。巨額な赤字決算の発表が相次ぐ。沈滞ムードが漂う暗い世相のなかで、元気が出る話題をひとつ。
 元気印なのがカジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(山口市、柳井正・会長兼社長)。消費不振で、百貨店や総合スーパーなどの衣料品販売が極度に落ち込むなか、独り勝ちした。2009年8月期連結業績予想では、売上高は6.9%増の6,270億円に上方修正し、過去最高となる見込みだ。

ヒートテックの大ヒット

 あのフリース(両面を起毛させた素材のこと)を超えたヒートテックの大ヒット-。
 大不況の中、ユニクロだけが勝ちまくったのは、ひとえに発熱保温素材「ヒートテック」の大ヒットにある。ヒートテックは、ユニクロと東レが共同で開発した機能性インナー。インナーを直訳すれば肌着。上下用、長・半袖、キャミソールからタートルネックまで用途は広い。
 もともとヒートテックは03年、主に夏向けのメンズ用としてスタート。その後、両社で機能を年々充実。繊維に牛乳成分を配合して保温性を高めたことが加わって、女性の間で爆発的に売れた。
 今シーズンの秋冬物だけで約2,800万枚を完売。空前のフリースブームに沸いた2000年の秋冬、ユニクロが販売したフリースは約2,600万枚。フリース素材で作ったタウン用のトレーナーやジャンパーが大ヒットしたことから、それらトレーナーやジャンパーをフリースと呼ぶようになったほどの大ブームだった。ヒートテックはフリースを抜いたのだ。

 しかも、ヒートテックの前途は洋々。フリースは誰でも着るようになってブームは消えたが、ヒートテックはその状態までには至っていない。肌着なので、1人が何枚も買っているからだ。フリースのように一過性で終わるのではなく、さらなる成長が期待されている肌着なのである。

一勝九敗のビジネス人生

 柳井正・会長兼社長(60)は『一勝九敗』(新潮社)というタイトルの本を出している。「私は失敗したことがない。成功の連続だ」という経営者がいたら、怪しいと思ったほうがいい、とはっきり口に出して言う。
 「失敗に早く気づいて軌道修正して、何度でも挑戦することが成功の秘訣だ。失敗を恐れてはいけない」と力説する。しかし、「致命的な失敗はダメだよ」と付け加えることを忘れない。
 柳井氏のビジネス人生は「一勝九敗」の歴史そのものだ。
 柳井氏は1949年2月、山口県宇部市に生まれる。71年3月、早稲田大学政経学部卒。土建業兼メンズショップ店経営の父親の勧めでスーパーのジャスコに入社。雑貨と紳士服売り場にいたが、1年足らずで退社。元祖フリーターと本人は言う。
 故郷に帰って地元のボスで土建屋だった父親が片手間でやっていたメンズショップを引き継ぐ。生意気だったせいか、7人いた従業員は1人を残して全員辞めてしまった。
 柳井氏にとって土建屋の父は日本的なものの象徴で、「親分子分の関係は子分ばかりが損をする」と全否定。父が体現した土建業と地方選挙運動のドロドロした部分を切り捨てることにビジネスの原点を置く。
 とにかく変人である。人付き合いは苦手で、社員とも取引先とも交わらないし、群れたりもたれあうこともない。人間嫌いなのだ。(つづく)

【日下淳】

*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


東京レポート一覧
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル