「かんぽの宿」で追い詰められる日本郵政の西川善文社長の腹心中の腹心、横山邦男専務執行役が古巣の三井住友銀行に戻る気配がある。
郵政関係者から「横山が3月には銀行に戻る」という情報を耳にしたのは今月初め。横山氏といえば住銀時代にMOF坦を経験し、企画部時代には三井との合併をまとめるなど、西川氏の子飼いとしてトップエリートの道を歩んでいた。それが西川氏の日本郵政社長就任に伴い、他のエリート3人とともに郵政入り。別名「チーム西川」のリーダーとして企画戦略部門を担ってきた。それが「かんぽの宿」で綻びが露呈。西川氏ともども追い込まれているのはたしかだ。
とはいえ「住銀では1回出たら戻れないのが不文律」(同行OB)。しかも昨年は将来の頭取を争っていたライバルが役員入りしただけに、横山氏は銀行に戻るに戻れない、というのが住銀関係者の見方だった。しかし、西川時代をよく知る別のOBによれば、「不良債権処理という裏仕事を手がけた西川氏の威光はいまも生きている。西川指令なら銀行も聞かざるを得ない」という。
横山氏は郵政本体のみならず、かんぽ生命の社外取締役に加え、同社の任命委員会、報酬委員会の委員長として実権を掌握していた。かんぽ問題は当然、郵政の闇が明らかになるほどに責任を問われるのは必至。西川氏が懐刀を温存すべく古巣へ避難させようと画策してもおかしくないが、そんなことが許されるはずがない。政治家、メディアの踏ん張りどころだ。