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不動産不況に打ち勝つカギは、ユニークな独自の企画力にあり (株)徳増興産 | 企業クローズアップ
特別取材
2009年3月 2日 11:32

 北九州地区を代表する不動産開発業者の一つである(株)徳増興産。積極的な事業展開で、現在では主力の貸ビル業のほか、飲食業、温浴施設運営、エステなど多角化経営を行なっている。なかでも主力の不動産業では、北九州市小倉北区馬借に昨年春、25階建ての超高層賃貸マンション「トーマスタワー」を完成させ、業界内外で注目を集めた。さらに、昨秋には福岡市博多区住吉でも温浴施設を備えた15階建ての「パークテラス住吉」が完成。こちらは、完成後3カ月で満室となるなど、同社の企画力の高さを裏付けた。厳しい経済情勢のなかでもエネルギッシュな活動を見せる同社の現状をレポートする。

(株)徳増興産代表・徳増 雄三氏COMPANY INFORMATION
代 表:徳増 雄三
所在地:北九州市小倉北区堺町1-9-6
設 立:1967年7月
資本金:4,000万円
年 商:(08/8)7億2,000万円
TEL:093-512-5622

実父の跡を継いで99年11月代表に就任

 (株)徳増興産は今でこそ不動産ビジネスで注目を集めているが、設立当初はLPガスの販売からスタートした会社。今のような不動産業主軸の経営となったのは、現代表の徳増雄三氏が同社に入社して以降である。徳増社長は、1976年に福岡屈指の進学校である福岡県立小倉高校を卒業後、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校に進み、応用数学を学んだ。その後、日本電気(株)の北米推進事業本部で勤務していたが、実父が病に倒れたことで、跡を継ぐようになった。
 現在は、同社を中心として飲食業やスーパー銭湯を手掛けるフューチャー(株)のほか、金融・企画コンサルを手掛けるトーマツインベストメント(株)など多くのグループ会社を有しており、北九州でも有力な企業群のひとつにまで成長してきている。

企画力を活かした高級賃貸マンション経営を展開

 同社では、北九州市内を中心にVIP浅野(小倉北区)、ジャミロ小倉(小倉南区)など数多くの都市型高級賃貸マンションを保有している。なかでも同社が一躍注目されたのは、08年春に完成した小倉北区馬借の「トーマスタワー」。この地上25階建て高さ81メートルの超高層賃貸マンションは、北九州随一の高さを誇り、抜群の眺望から非常に人気が高いマンションとなっている。
 人気の高さは景観の良さだけではない。23~25階の部屋は賃貸マンションでは珍しいフルオーダーメードの住宅となっている。さらに、3、4階に設けられたスーパー銭湯は、バリのリゾートを思わせるような造りとなっており、癒しの空間が広がっている。このように賃貸マンションでありながらも、細部にまでこだわった造りがなされているが、これは徳増社長が「市民に広く愛される複合施設を作ることが、北九州への恩返しとなる」という想いがあったため。土地取得から約4年の年月を経て完成した「トーマスタワー」だが、今では小倉のランドマークタワーと言える存在にまでなってきている。

超高層賃貸マンション「トーマスタワー」(北九州市小倉北区)・「パークテラス住吉」(博多区住吉)

投資ファンドが逃げても心配は無用

 順調に業容を拡大してきた同社だが、さすがの同社もこの100年に1度と言われる世界的な大不況の影響を受けなかったわけではない。同社は昨秋、福岡市博多区住吉に「パークテラス住吉」を完成させた。この「パークテラス住吉」は15階建ての賃貸マンションで、「トーマスタワー」と同じく温浴施設も併設されている。そのため、立地条件の良さもあり、建物完成後わずか3カ月で137戸すべてが埋まり、満室となった。入居者も大手企業のサラリーマンなどが多く、評判は上々である。
 しかし、問題はこの物件の売却先。そもそもこの物件は当初、投資ファンドのセキュアード・キャピタルへ売却する予定だった。しかし不動産市況の低迷で、セキュアード側が購入を見送る素振りを見せてきており、売却が難しい状況となってきている。そのため、「徳増興産は大丈夫か?」「施工したゼネコンは、大口で焦げ付くのではないか?」という風評が地元の建設・不動産業界で広まった。しかし、ここからが同社が並みの不動産開発業者でないところ。これまで培ってきた高い信用背景をもとに自社保有を含めたいくつかの解決パターンを生み出し、この緊急事態を乗り切る方針だ。具体的には、①複数の金融機関(内諾済み)から資金を調達して、自社保有する②大手の不動産会社の斡旋ですでに複数社が購入に名乗りをあげている、といったように、自社保有でも売却でもいけるようにすでにスキームはできあがっているのである。ただし、最初に売却する予定だった投資ファンドとの決着(違約金などの問題)がまだのため、その結果を待って次のアクションに移る方針となっている。

 人類がこれまでに体験したことのない、未曾有の不況に急速に陥った世界経済。この影響で、国内でも不動産会社の倒産が昨年から相次いでいる。しかし、同社には他社がなかなか真似できない斬新な企画力が備わっており、この難局を乗り切るだけの企業体力も兼ね備えている。今後も北九州市民の快適な暮らしと発展のためには、ますます同社の存在が欠かせなくなることは間違いない。同社のこれからにも、さらなる期待を寄せたい。

【宮野 秀夫】

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