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外食業界の逆風に挑む ウエスト・若山和夫社長(2) | インタビュー
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2009年3月 2日 15:29

2.好調を支える荒利益折半制度

「家族的でチェーン店的な匂いがしない」と語る若山社長 現在、ウエストの全店舗のうち、うどん業態は120店以上と全体の6割を超える。でも、これだけの規模でありながら、外部の人々から見た印象は「家族的でチェーン店の匂いがしない」という。ここにも同社が好調な理由が隠されている。

 それは同社が作り出した独特の経営システムに因るものだ。同社は「経営は家業」という考えのもと従来から暖簾分けを行ってきた。このシステムを同社では「荒利益折半制度」と呼んでいる。

 仕組みは以下の通り。まず外部または自社の独立希望者から、うどん店の経営パートナーを募集。店舗物件の選定や建築、家賃支払い、食材やレシピの提供などはすべて同社が受け持ち、経営はパートナーに委託する。

 そして、パートナーと同社が売上高から材料費を引いた荒利益を、折半するというもの。店舗の95%はこのシステムで運営されている。

 「材料費を下げないと荒利が上がらず、パートナーさんの取り分も増えません。また、荒利の中から人件費を払うことになるので、従業員のレイバーコントロールも必要です。当然、売上げが上がれば、取り分は増えるので、モチベーションはアップします」

 もちろん、本社にはうどん部門を管理する部署があり、エリアごとに置かれた地区長が毎日店舗を巡回して指導。問題が発生すれば、すぐに駆けつけて対処し、人手が足りなければ送るなど、フォローアップは万全だ。

◎競争力をつけるメニュー開発を奨励

うどんWESTニューヨーク店 「リタイア後に家族でやっている方々も大勢います。私たちも家業の集団という感覚で、チェーン店とは思っていません。自分のお店という意識で、店内を飾ったり、回りを植栽したり。当社のメニューと提供するレシピさえ守っていただければ、後は経営者の裁量に任せています」

 元来、外食業界は独立志向が強く、従業員の定着率は悪い。だから、独立心を尊重しつつ、企業にも有効な仕組みとして同社が作り出したのが、この荒利益折半制度だ。

 もちろん、制度にあぐらをかいていると、競争力はつかない。また、外食不況の中で、システムで売上げが維持できる保証もない。そこで、同社は既存店の近隣にも出店し、自社競合を積極化。パートナーに競争力を付けさせるため、メニュー開発も奨励している。

 「オリジナルメニューといっても、新たな在庫スペースはないし、作業工程が複雑になると定着できず、オペレーションもままなりません。ですから、皆さん、自然と手に入る食材の中でのメニュー開発になっていきます」

 基本的にはグランドメニューに差し込む店舗ごとのオリジナルだが、食材や費用の範囲内で行なう必要があるため、パートナーには工夫が求められる。

 もっとも、全店統一の販促などに参加した上でのメニュー開発だけに、「何もやらないところはダメ」といった経営の意識づけを強化できる点が大きいようだ。(つづく)

【釼 英雄】

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