2日、キヤノンが大手ゼネコン鹿島に発注した工事をめぐり、キヤノンの御手洗冨士夫会長と親しいとされる大分のコンサルタント会社「大光」が脱税したとされる事件で、東京地検特捜部と東京国税局は、福岡に本社を置く「九電工」本社を家宅捜索した。
九電工の家宅捜索は初めてではない。07年2月にはフィリピンの公務員に対し利益供与を行なったとして、不正競争防止法違反の疑いで福岡地検特別刑事部の捜索を受けている。
今回の事件では、逮捕された「大光」の社長・大賀規久容疑者側に億単位のコンサル料などを渡していたとされる。裏金作りに協力して仕事をもらっていたという構図が浮かび上がっているのだ。
問題は、コンプライアンスを守らない九電工という会社の会長が、福岡商工会議所の会頭であるということ。商工会議所の役割について、いまさら述べるつもりはないが、「商工会議所法」に基づき設置された公的組織であり、政治的な発言はもとより地元経済界を取りまとめる重要な役割を担っている。その会頭の出身母体が法律に違反し、検察の捜索を受けているのである。会頭にとどまることがいかに不適切か分かりそうなものである。
橋田紘一社長についても責任がないとはいえまい。キヤノン‐鹿島の裏金事件で九電工の関与が報道されながら、同社としては一度も会見などを開こうとしていない。会社トップとしての説明責任を放棄しているに等しい。こうした企業が、福岡の財界で七社会だの福岡商工会議所会頭だのというポジションに君臨し続けること自体、間違いであろう。
※記事へのご意見はこちら