【気になる本、ナナメ読み】 vol.12
同書の「逆算」とは、目標から物事を達成するための道筋を設定する、いうなれば究極の効率化である。人間誰しも夢や目標があると思うが、実際にそれを実現しようとしても、その手段が思い浮かばずに頓挫してしまう場合が多いのではないか。そういう人たちにとっては、同書がいうところの「逆算」は、目標達成のための手段を見つけ出すヒントになるだろう。
著書は公認会計士である夫・隆弘氏とその妻・二三代氏となっている。しかし実は、15年間専業主婦だった二三代氏の目線を中心に書かれているため、一般的な簿記や会計のノウハウ本というよりは、生活のなかでのあらゆることを逆算し効率的に行なうための発想方法を記している、とした方が適切だろう。
“逆算力”を構成する7つのロジックとして、(1)目標、(2)情報収集、(3)概要把握、(4)手段選択、(5)期限設定、(6)集中、(7)作業(実行)が挙げられている。これらは普段の仕事を完遂するための重要な要素でもあるが、それらを逆算することの重要性を訴えているのが同書の主張。
1~3章までは逆算力の基礎を固めるためのエピソードで、4章になると貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の基本的かつ根本的な見方を提示している。また、効率的かつ有効的な経営計画を立てるためには貸借対照表から逆算していく必要がある、と述べられている。
逆算することで、つまりゴールを先に見ることでゆっくりとスタート地点に向かい道筋を立てれば、ゴールにたどり着くのが早い―これはまったくその通りであるが、そのゴールを何に設定するか。それはやはり、その人自身が理想の自分像を描ききっているかどうかが肝要ではないだろうか。
【大根田康介】
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